満月の夜に。 Daiki (ページ19)

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昨日はほんまに楽しかった。

Aがあんなに笑うのはほんまに久しぶりに見た。

また行きたい！って。

Aが退院出来るくらいになったらどこでも行くのにな。

でもあれから1週間、悲劇は突撃襲った。

学校帰りに学校の近所の雑貨屋に寄り道した。

これや！

星のネックレスを見つけた。

Aに似合いそう。

そう思って会計を済ませ可愛くラッピングまでしてもらった。

自転車をとばして病院に向かった。

ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ

「A～！来たでー！」

でも、俺の目に入ったのは

泣いてるAと、Aに必死に呼びかける濵ちゃん。

濵「重…、落ち着いて聞いてくれるか？」

俺は頷いた。

濵「ほんまはユニバのあの日から脳に新たに腫瘍があってん。

でも、この1週間何も異変は無かった。

せやから大丈夫やと思ってたんやけど…

今日の朝、目覚めた時に…

Aちゃんの記憶が無くなってた。」

「え、、」

濵「俺の事は覚えてたんやけど…

他の事は全く……

この状況を理解するのにAちゃんも焦ってる。

それと…重の事を……Aちゃんは全く…」

この先の言葉を聞きたくなかった。

嘘やと信じたかった。

「A…？俺の事、分かるやんな？」

Aは俺を怯えた顔で見つめながら

『誰…？知らへん…』

と答えた。

「え…嘘やろ？なぁA！」

濵「あかん！重！

Aちゃんが怖がる！落ち着け！」

俺はその場にガクッと崩れ落ちた。

「A…俺は重岡大毅。

Aの彼氏や…。」

『私の…彼氏…？』

「そうや。まだ思い出されへん…？」

Aは頷いた。

Aは自分が誰なのか、とか大抵の事は分かってる。

でも、濵ちゃんや自分の病気の事以外は全く覚えてへんみたい。

「濵ちゃん…俺、どうしたらええん…？」

濵「諦めるんはまだ早い。

もしかしたら記憶が戻るかもしらんで？」

「そうやと信じてる…」

俺はAちゃんに今までのことを全て話した。

でも、

『ごめんなさい…思い出せない…』

と何度も謝った。