満月の夜に。 Daiki (ページ12)

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ゲートを抜ければ

俺には目を疑う光景が広がった。

濵「よっ！」

手を上げる濵ちゃん。

「え、なんで濵ちゃんおんの？」

濵「なんでってAちゃんを迎えに来たんや。」

「え、待って、どういうこと…？」

俺はAちゃんを見た。

すると、Aちゃんは俺の目を見て

悲しく微笑んだ後、
『最後まで聞いてくれる？』と首を傾げた。

「うん」と頷けば、Aちゃんは口を開いた。

『私、入院してんねん。』

「え、入院？！」

『そう、病気やねん。

治し方は今のところ見つかってない病気。』

「え、、」

『病気が見つかったのは3歳くらいの頃。

治療の仕方も分からへんくって、
その当時のお医者さんに言われてん。

「成長すれば治るかもしれないね」って。

でも、そんな事なかった。

成長すればするほど病気は悪化した。』

「え、」

『色んな病院をたらいまわしされた。

でも、どこも病名すらわからへんって断られた。

やけどね、濵ちゃんのお父さんが
私の病気と真剣に向き合ってくれた。

治療の仕方まで真剣に考えてくれたし、
入院もここでさせてもらうことになった。

それで、濵ちゃんに出会った。』

濵ちゃんを見れば静かに頷いた。

『濵ちゃんのお父さんは、

今でもずーっと病気の事調べてくれてるんやけど、まだ分からへんみたい。

ただ…「そう長くはないかもね」って。』

「え、ってことは…」

『私にはそんなに時間がない。

人と関わったって、いつかは別れを告げなきゃいけない。

もしかしたら、私が消えた時、その誰かは悲しむかもしれない。

私のせいで、誰かを傷付けるかもしれない。

私と出会わなければその誰かは悲しまない。

私が消えても笑ってられる。』

「だからAちゃんは学校に来ない…？」

『そう。誰とも関わらないようにしたかった。

でもね、重岡くんにはずーっと前から会いたいって思ってた。不思議やろ？

いつもなら、「傷付けるかも」って不安の方が勝ってしまって会わない事が当たり前やったのに…

重岡くんには心から会ってみたいって思ってた。』

「え、」