満月の夜に。 Daiki (ページ2)

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リュックを背負って保健室から出ると

淳「おい！重岡！」

淳太が鬼の形相でやって来た。

淳「お前、サボんの何回目やねん！」

「うーん分からん！笑」

淳「これからは参加せーよ！単位落としても知らんからな！」

「はいはーい！」

なんやかんや言うても淳太は緩い。

家に帰ってベッドに寝転んだ。

さっきまで寝てたのに、また眠気に誘われて目を閉じた。

案の定、目を覚ましたのは19時で夕飯の時間。

母「小僧！ご飯はー？」(ラジオより笑)

1階からオカンが俺を呼ぶ声がする。

「食べるー」

家族4人でご飯を食べ、皆はギャッギャッとおしゃべり。

楽しいけど、今日はなぜかいつもより1人になりたかった。

「俺、外行ってくるわ。」

母「うん！気ぃつけや！」

「おん！大丈夫や！」

家の扉を開ければ、夏の夜の独特の蒸し暑さが押し寄せてきて、すぐに汗がでた。

チャリを漕いで近くの土手に向かった。

ここの土手は、昔から俺ら4人が遊んでいた所。

俺はそこに寝転んで夜空を見上げた。

都会とは思えないほど星が良く見えて絶景だった。

「今日は満月か。」

そう1人で呟けば、

『ほんまに綺麗な満月よね』

と、声がして慌てて起き上がった。

声がした方を見れば、同い年くらいの白いワンピースを着た女の子が微笑んでいた。

「えっと…あの…」

俺が少し焦っていると女の子はフフフと笑った。

『いきなりでごめんね笑

私も綺麗な満月やなぁって思ってたから、ついつい言葉に出しちゃった笑』

そう言って照れ笑う彼女を見て胸が弾んだ。

「名前はなんて言うんですか?」

もう少し彼女と喋っていたくて咄嗟に出た言葉がそうだった。

彼女は少し困った様な顔をした。

「あ、いきなりでごめん。

どこのどいつか分からん奴に名前なんて教えたくないよな…笑」

俺がそう言えば

『あ、いえっ！そういう事じゃないんです！

ただ…』

悲しそうに微笑みながら彼女は口を開いた。

「ただ…？」

『あ、いえ。やっぱり何でもないです！』

と、顔を横に振った。