朝の日課(４) ページ10
放送が終わって、いつものようにスイッチを切る。
もうすぐ…来るな。
雑誌を繰りながら、コーヒーを飲み干す。
そして窓の外を眺めるけど…
…今日は、会えないのかな……
小さくため息をついて、雑誌とプレーヤーを手に席を立った。
＊
放送が終わって、いつものようにスイッチを切る。
窓際の人も同じようにイヤホンを外した。
まさか…同じ番組を聴いていたの？
彼の横顔を見ながら、コーヒーを飲み干す。
まるで何かを探すかのように、窓の外ばかり眺めている。
…そろそろ戻らなきゃ…
小さくため息をついて、新聞とプレーヤーを手に席を立った。
＊
店内にうまく配置されたグリーンを回り込んでレジに向かうと
窓の向こうにいるはずの彼が、目の前にいた。
え？……
驚いて思わず立ちすくんで、じっと見つめてしまった。
＊
雑誌の棚を回り込んでレジに向かうと
窓際の彼が目の前で、目を丸くして俺を見ていた。
あ……
ずっと見ていたことがばれたような気がして、思わず下を向いた。
＊
レジからマスターの声がした。
「大野くん、どうかした？」
「あ、……ううん、なんでもない」
答えたその声と呼びかけられた名前に、翔は弾かれたように顔を上げた。
その勢いに思わず振り返った智に、おずおずと話しかけた。
「…あの、……大野…智さん？」
「え？…どうして…？」
「毎朝、車で…あの、…ラジオを」
「…そこに停める、あの…赤い車でしょ？」
「え？…なんでそれを…？」
二人でコーヒーを飲みながらオンエアを聴くようになるのは、もう少し先の話。
【end】
＊＊＊近々フラグ立てる予定です。気になる方はご退散を！＊＊＊
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作者名：tororo
| 作者ホームページ：https://satoshiryoiki.fc2.net/
作成日時：2012年1月13日 13時
