いつも貴方の側に (ページ16)

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上を向いて歩こう(１) ページ16

「松本さん、アップでーす！」

「ありがとうございましたー！」

「松本さん、ドラマも楽しみにしてます♪」

「ありがとう…あの、リーダーは？」

友情出演のワンカットを撮り終えて一応周囲のスタッフにアップの祝福をもらって苦笑いの潤は、肝心の智がいないことに気付いた。

おいおい…今一緒のシーン撮ったところじゃねぇか…

と思ったら。

「じゃんっ」

不意に智の香りがしたと思ったら、振り返る間もなく目の前に紫のバラの花束が現れた。

「うゎっ！」

「まつじゅ～ん♪今日はありがと♪」

「…リーダー、忍者なの？！今完全に気配を感じなかった(笑)」

「ふふん♪忍者なんだよー」

謎の切り返しを受けて『？』を撒き散らす潤に、智が手を差し出した。

「ありがとね」

「…楽しかったよ＾＾」

取材のカメラのフラッシュがうるさく光り続けて、二人は握手をしたままの姿勢をしばらく保った。

「…二度目だね、おいらのドラマに出てくれるの」

「もうリーダーのドラマは、俺の指定席にしといてくれよ」

「ふふ」

フラッシュを言い訳に、智の手を握る力を緩めない潤。

「…(苦笑)まつじゅん」

「ほらっリーダー。まだ撮ってもらってるよ、顔！」

「(苦笑)」

「すいませーん！大野さん、松本さん！

こっちにも目線もらえますかぁ！」

「ほーい♪」

取材陣のリクエストに応じて向きを変えた二人だが、潤は反対側の手を智の腰に回してきた。

密着して握手をする二人に、さらにフラッシュが光りだした。
記者の声に合わせて微妙に向きを変えるたびに、腰を引き寄せる手に力がこもる。

「…ま、つじゅん、近い」

「そうかな？ほらっ、カメラ見て！(笑)」

そういうシーンが歓迎されることを承知で、潤は智の耳元でそっと囁いた。

「今日…終わるの、遅いの？」

「え？…さ、さぁ、どうかな…」

盛んにフラッシュを焚くカメラにいたずらっ子の目線を向けてから、もう一度囁いた。

「…マネージャーに確認しとくよ。…終わる頃に、迎えに来るから」

「え…ちょ、…」

「すいませーん、取材の方、そろそろ終了ですのでー！」

「じゃ、リーダー。撮影、頑張ってね！」

「…あ、あぁ、ありがとう」

戸惑う智にウィンクを一つ投げて、関係者に挨拶しながら去っていった。
取材陣にとっては『松本潤』らしいパフォーマンスとして。

智にとっては、

意味深な。