いつも貴方の側に (ページ2)

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片思い(２) ページ2

【S eyes】

いつものように智くんのスケジュールをチェック。

は？
明日のロケ…

ペアを組むのがニノで、ゲストに来るのがきれいなお姉さん(しかも年上)で、

行くのが、釣りぃぃぃぃぃっ？！

…
なんなの、この妬きなさいよと言わんばかりのお膳立てはっ？！

気付いたら早朝から、智くんのロケ現場に向かっていた。

俺の仕事の入り時間までは、まだ数時間ある。
…いくら俺でも仕事遅刻してまでここで悶々としたり
ロケの邪魔したりまで…

たぶん、しない。
てか、しない。

俺のキャラじゃないし、そんなの。
キャスターやってる俺の事を殊の外褒めてくれる
智くんの前で、そんなみっともないこと。

真剣な表情で台本のチェックをする智くんを見つけた。

声をかけると、これ以上ないくらい驚いてる。

表面上は眼を見開いて、少し眉を上げたくらいだけど
今、結構心臓がバクってなったでしょ？

俺には、わかるよ。

あまり感情を出さないこの人の、内面がどんな風に動いているのか。

だって…

ずっとずっと、見てきたんだもの…

「翔くん、今日、某局だよね？」

「え？…」

俺じゃあるまいし、智くん、俺のスケジュール…知ってくれてたの？！

…やっべぇ

…やべぇ

まじで、がちで、…めっちゃうれしい……

嬉しさを噛みしめていたら、智くんを正視できなくなって…

沈黙。

いつもなら、全然気にならない。

口数の少ないこの人の隣で、二人だけの空気を共有しながら静かに過ごすのが
好き。

何も話してくれなくても、たいていこの人の考えてる事なら
わかるから。

でも、嬉しさを何とか抑えようと目をうろうろさせていたら、
隣の智くんも同じように目を泳がせている。

どうしたの？
俺にもわからない、初めて見るような智くんの様子に…

なんだか焼きもちが再燃してきたような気持になって

ふとメイク用の鏡を覗いたら、

俺と同じ表情をした智くんが、

鏡越しに

俺を見ていた。