Ep8（田所迅） ページ8
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Aが転校して来て、部に参加するようになって1週間が経った。
「迅くん今日も頑張ろーね！」
昼休み。廊下ですれ違う時にはこうやって笑顔で話しかけてくれるA。
コイツの部への溶け込み方は半端じゃねぇ。明るい性格は部そのものを明るくしてくれる、Aはそんな奴だった。ムードメーカーというか、なんというか。
とにかく部に花が咲いたようだった。
田所「おー！今日もやるかぁ！」
威勢よく返事した所で、ぐうぅっとお腹が鳴る。今のは俺じゃなくて、Aの腹からだった。
田所「腹減ってんのか？昼飯は？」
「それがさ、この学校の購買混みすぎじゃない？パン1つも買えなかったんだけど！」
そう言いながら頬を膨らますA。そりゃあの購買の倍率で買おうとする方が無理な話だ。なんて転校してきて間もないAは知る由もない。
不便に思った俺はAに提案を持ちかける。
田所「だったらパン分けてやるよ！俺のクラスに来い！」
その瞬間のAはと言うとパアァッっと効果音でも付きそうなほど表情がみるみる明るくなる。さっきまでプンプン怒っていたというのに。
そのコロコロ変わる顔が、なんと言うか。可愛らしいというか‥面白いというか。百面相、と心の中で思い浮かべて、少し笑った。
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「えー！？これ迅くんが作ったの？！」
メロンパンを頬張りながら驚くA。どうだ！すげぇだろ？と得意げに言うとAは惜しみない賞賛を贈ってくれた。
「美味しすぎる！形も綺麗だし‥もしや天才？」
田所「ガーッハッハッ！そんな事あるけどな！」
自分の作った食べ物で人を笑顔にできる‥
作り手にとって、これ以上のモンはねぇ！
田所「実はウチがパン屋でよお！卒業したら俺も本格的に働き始めるつもりなんだ！」
「へぇ〜そうなんだぁ。迅くんは最高のパン職人になれるよ！」
そう言ってAは、俺の肩を肘で軽くトントン、と小突く。
そのAのあまりにも屈託のない笑顔に不覚にも心臓が高鳴った。
「褒めすぎだぜ」
なんだか顔が熱くて、無駄に速く脈打ってて、そう返すのに精一杯だった。
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作者名：ハレルヤ | 作成日時：2020年1月1日 23時
