Ep18 ページ18
.
迅くんの誕生日も終え、また次の週末。
湾岸クリテリウムという都市で行われる周回レースに、迅くん、はじめくん、章吉くん、照文くんが出走すると言う事で、部で応援に来ていた。
少し肌寒く、もうすぐ冬が来る。自転車の今シーズン最後のレース。‥迅くん3年生と出場できる、最後のレース。
途中までくるくると位置取りが変わり応援にも精が出たが、ラスト1周になる頃にはもう声は出さずに見守った。
迅くん、はじめくん、章吉くんの3人が圧倒的に他の選手を引き離す。3人の中で優勝者が決まる。
「ー優勝は総北高校3年、田所迅選手ー！」
ビリビリと大きな歓声とアナウンスが流れ、優勝者を高らかに告げる。ゴールした瞬間、少しこみ上げるものがあった。
表彰台に総北高校のジャージが3枚並んでいるのは圧巻だった。
「照文くんもお疲れ様」
「あ、ありがとうございます」
そして表彰式が終わり、みんなに拍手で迎えられ迅くんは引退を迎えた。
「ありがとうよ、青八木、鳴子。思い出に残るレースになったぜ」
「ありがとうございました！」
はじめくんと章吉くんは深々と礼をした。
あー、なんだか、泣きそうだ‥。
そう思ったのも束の間、
「からの〜、スペシャルさよならパンチ！」
2人して迅くんのお腹めがけてグーパンチが飛んだ。
迅くんは怒って2人を追いかけ回す。
せっかくさっきまでちょっぴりしんみりしたのに、涙なんて何処かへ引っ込んでしまった。
変わってしまう事もあるけれど、きっと変わらないものもある。
総北高校自転車競技部を、私達3年は明日、引退する。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハレルヤ | 作成日時：2020年1月1日 23時
