Ep.11（今泉俊輔） ページ11
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しまった、携帯がない。
そう気づいたのは1限目が終了した休み時間。朝練が終わって携帯チェックした所までは覚えているから、そのまま部室に置き忘れでもしたんだろう。
10分しかない休みに取りに行くのは面倒だ。昼休みにでも取りに行こう‥。
そうして4限目が終わり、昼休み。俺の席の周りに自然と小野田、杉元、鳴子が近寄ってくる。わざわざ他所のクラスからだ。とある日に小野田がお昼を一緒に食べようと提案してから、そのままなんとなく日課となってしまった。
「今泉くんどこ行くの？」
「部室に忘れ物したから取ってくる」
じゃあ、先に食べてるねー！と言う小野田を横目に、俺は校舎を出て部室に急いだ。
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誰もいないだろうと黙って部室の戸を開くと、どうやら先客がいるようだった。
「いやいやちゃんとやってるって〜
心配性だなぁ〜友ちゃんは〜。って、え？」
ノックもせずに開けた扉の先には、ベンチに座って
電話先の相手と談笑するAさんがいた。
俺の姿を確認して驚いた彼女は会話を途中で止めてしまったようだった。
「何もないよ〜もう切るね！バイバイ友ちゃん〜」
耳元から離れた受話器の向こうからはまだ何か声が聞こえていたのだが、Aさんはお構いなしに電話終了ボタンを押した。
「何も切らなくても。話の途中だったんじゃ？」
「いいのいいの！前の学校の友達だし、あの子話し出すと長いんだから！」
そう言ってへらっと笑うAさん。
この人の第一印象は、‥正直苦手だった。何考えてるのか分からないと言うか、掴みどころが無いと言うか‥。
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作者名：ハレルヤ | 作成日時：2020年1月1日 23時
