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「どしたん?」
彼らの登場にそれなりに驚いた私はまあまあの大きさでそう言ってしまった。
3人組の真ん中の……確かトランペットの子がはなしかけてくる。
「相談したいことがあるんですけど、」
そう言うと言い淀む彼。2人の友達が背中を押していた。何かボソボソと喋っている。
「やっぱり、男子で吹奏楽って浮くって言うか……あんまり歓迎されないですよね、」
え?
深刻そうにしてるもんだから、何かとてつもない悩みを持ってるかと思った。拍子抜けしてしまったが、本人は深刻そうなので表に出さないようにする。
「僕、高校は吹奏楽が男子もそれなりにいる珍しい感じだったんですけど、中学は僕だけしかいなくて。トラウマなんですよね…」
「そうなんや。まぁ、うちも男子は4回生の人しかおらんからほぼ居ないに等しいもんなぁ」
「だから外部の吹奏楽できるところにするか悩んでおりまして」
な、なるほど〜……私は平凡なサークルメンバーの1人なので、それなりのことしか言えない。
夏帆ならもっといいことを言えるんやろうけど、サー長には言いづらいよなぁ。
「大学生なんやし、自分が1番好きな環境でやることができればそれが1番やと思うな。私もここのサークルがみんな優しくていい子たちやったから選んだし」
なんだか本当に適当な答えになってしまった気がするが、彼ら的には納得出来る答えだったようだ。
そして、さらに一言。質問が飛んできた。
「夏帆さんって彼氏いるんですか?」
「……おらんけど、オススメはできません……」
「じゃあ先輩は彼氏いますか!?」
ドラム叩けますって言ってた子が急に聞いてきた。え?私?
「私は、一応いるけど…」
そう呟くと、彼らの顔がなぜか引きつった。
ん?
私の肩に誰かの腕が乗せられる。
「ごめんAさん、お待たせ」
その声色は無闇に明るい。しかし、肩に回してきた腕の力は引くほど強かった。
「み、港人くん………遅かったなぁ…」
「ごめんな、サークルがちょっと長引いてさぁ。…そんでこいつら誰なん?」
さらりと言ったが、威圧感が半端じゃない。
「サークルの後輩やから、ナンパちゃうよ?」
「は?ナンパやろ?彼氏おるかおらんかはサークル関係ないやん」
一応声色は笑いながら言ってるが、顔は絶対に怖い。肩掴まれてて顔見えんけど、後輩たちの顔を見ればわかる。
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猫(プロフ) - かしこまりました!笑 (2020年1月5日 1時) (レス) id: 97e2db8af3 (このIDを非表示/違反報告)
いるか(プロフ) - 猫さん» ほんとですか!私もいつでも何でも(?)お話したいのでコメントお待ちしております! (2020年1月4日 0時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 私で良ければいつでもコメントしますね!! (2020年1月3日 23時) (レス) id: 97e2db8af3 (このIDを非表示/違反報告)
いるか(プロフ) - 猫さん» コメントくださるとすごく励まされるので、ありがたい限りです!温かい応援を本当にありがとうございます! (2020年1月3日 13時) (レス) id: cc397255a5 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - はじめましてですね!いやもう逆にこのような素敵な作品をコメントでしか言葉を送れないっていうのが悔しい限りです、もっと他の形でいるかさんを応援したいんですけどね、、つまりはとってもおうえんしてます!楽しむ程度に頑張ってください! (2020年1月3日 2時) (レス) id: 97e2db8af3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いるか | 作成日時:2019年12月28日 21時