みなとくんの隣

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井上港人side

お昼ご飯を食べ終わり、Aさんと夏帆さんは授業があるので行ってしまった。

俺がみんなの方の席に戻ると、すごい勢いで囲まれる。なんやねん……

「お前マジであの先輩と付き合ってんの？」

「そうやけど。」

正直囲まれんのはダルい。噂とかも嫌いやし。

Aさんのこと悪く言われんのも嫌やなぁ。

「なんで？あの先輩と全然仲良くなかったよな？」

「私も初めて見たで、あの人」

「同じ高校の先輩で、俺が一目惚れしてん。可愛いやろ？Aさん」

少し面倒くささもあったので一纏めにして答えてしまった。俺の言葉に女子たちが嬉しそうに飛び跳ねる。

一目惚れはちょっと言い過ぎな気がするけど、もうこの際そういうことにしておこう。

降り注ぐ質問攻めに適当に答えながら、食堂を後にしたAさんの背中を見つめた。

色々話したいことがあったのに。

「でも、なんか俺は嬉しいわ。港人が楽しそうやから」

「…なんやねん」

「せやな。みんなもうええやん、コイツが幸せそうならそれで」

友達のやつらの言葉にサークルの奴らが納得し始める。ほんま、みんな根がいい奴らでよかった。

「あんま変な噂は流さんといてな」

俺が言うと、「当たり前やん」と言ってくれる。そろそろ部室行こか、という言葉でみんなが立ち上がった。

友達と話しながら食堂を出ると、携帯がなった。画面を見るとAさんからのLINEが来ていた。

『今日、よかったら一緒に帰らん？』

胸の奥がギュッと掴まれる感覚。何ニヤニヤしてんねん、とどつかれた。

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