#20 ページ21
『藤井さんこそ、お付き合いされてる方はいるんですか?』
あぁ、私は何を聞いているんだ。
返答しだいではとてつもなく地雷を踏むことになる。
聞いてからじゃ遅い。もう答えを聞くしかない。
「俺は、いないよ」
ワントーン声が低くなった藤井さんは
そうやって言うと、コーヒーに口をつけた。
さっきまでの笑顔が一瞬曇った気がした
自分の地雷なんじゃないかとか、
そんなことだけを気にしてしまった自分が最低だと思えた。
藤井さんの様子だと、
あまり掘り下げて欲しくなさそうだった。
やっぱり、笑顔が見たいなんてワガママすぎたよね…。
だけど、ここで1歩引くか引かないかで
私のこの恋も、藤井さんのこれからも、
変わってくる。
そんな気がした。
でも…。
(過去になにかあったんですか?)
この一言が、言えない。
聞けない。
藤井さんのこと、もっと知りたいのに。
知ろうとすれば、その分離れていかれちゃうんじゃないかとか
お前には関係ない、みたいに言われてしまうんじゃないかとか
自分の期待している反応が来なかった時を考えると、
怖くなってしまった。
私って、恋愛下手だな。
こんなに自分が臆病だったんだってことも
初めて知った。
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作者名:ひろか | 作成日時:2017年8月14日 2時