【ハイキュー!!】バレーの王子様Vol.2【男主】

番外編：その日が終わるまでに　黒尾誕生日 ページ47

『･･･ばか黒尾』

つぶやいて、携帯を見た。
けどやっぱり時間もメールの内容も変わらなくてソファにぶん投げた。

”遅くなりそう”

このメールが来たのが１１月１７日２１時。
そしてついさっき、２３時。

”帰れない”

何が帰れないだバカハゲおたんこなす。
今日が特別な日だと思ってるのは俺だけなのか。
せっかく黒尾が生まれた日なのに、とかそんなことは思わなくもないけど。

黒尾のためだけに作った影でこそこそ練習した料理も冷め切って、せっかくケーキだって作ったのに。
プレゼントも買ってきた、一応。前に欲しいって言ってた財布。
安い買い物じゃなかったけど、でもあいつが喜んでくれるなら、とか。
なのに、本人がいないんじゃ意味ないし。ばーかばーか。


クッションに顔をうずめて唸る。
唸ったって何も変わらないんだけど、だって。

『一緒にお祝い･･･したかったのに』



―――プルルルル

『！』

びっくりした、どこいった携帯！
どこに投げたんだ俺！

やっとの思いで見つけた携帯だったから画面も見ずに通話ボタンを押して耳に押し当てる。

「出るの遅ぇ」
『！くろお、』
「おい寒ィ、さっさと開けろ」
『えっえ？そこにいるの？帰れないって言ってたのに･･･』
「帰ってきてるから早くしろ、今日が終わる」

リビングから玄関へ走る。
鍵を開けると同時に開かれる扉。そして飛び込んできた見慣れた、会いたかった奴。

「遅ぇ」
『こっちの台詞だよ、ばか』
「うるせェ、さっさと言え」
『･･･本当勝手な奴！』
「ほら」

腰に回された腕に力がこもる。

『･･･誕生日おめでと』
「おう、サンキュ」

ひんやり冷えた手が頬に触れて、上を向かされた。

『ちょ、お腹すいてるだろ！プ、プレゼントもあるのに』
「先にこっち。腹減ってんだよ」

少しずつ近寄ってくる顔に反射的に目を閉じた。

「Aのこと食わせろ」
『っ、好きなだけ、食べればいいだろ』

今日くらい、お前の誕生日なんだから。




その日が終わるまでに



―――――――

ちょっと早いけどHappy Birthday 黒尾！

番外編：もうすぐクリスマス　月島Ｘｍａｓ→←番外編：なんでもお見通し　及川※ぬるいR15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す