第６５話：翻弄しているのは ページ45
それから何点か重ねて烏野は２回目のタイムアウトをとった。
「特に無し、自分らでやりなさい」
「「あス！」」
日向、さっきからすごく惜しい。
もう少しでタイミングを掴めそうなのに。
「大路さん」
急に後ろから声をかけられて肩を震わせた。
その主は夜久くんだ。
「あいつらいじけてるんでこっち戻ってもらっていいっすか」
『へ』
振り返ると音駒のやつらが全員こっちを見ていた。
『えっなに？』
「さっき今は俺らのマネだって自分で言ったくせにすぐ翔陽の方見てぇえ！！って犬岡が言ってるっす」
『あ、ごめん』
夜久くんのモノマネを聞きながら、なぜか謝る。
『ごめんね、犬岡くん？』
「俺だってあれくらいやれます！！」
「無理でしょ」
「無理だろ」
間髪いれずに突っ込まれたことで犬岡くんはしゅんと肩をおとす。
その頭には耳が見えるような気がしたし、その姿はやっぱり犬に見えて。
『犬岡くんのことちゃんと見てるよ、頑張ってきて』
無意識だった、日向にするように頭を撫でた。
といっても少し目線が上になるのだけれど。
それに気づいて手をどけようとすると、瞬時に捕まえられた。
「Aさん！どうしよう！！」
『な、なにが？』
近づいてくる犬岡くん。
腕を離して欲しくても、力の強さにどうにもできない。
後ろに、後ろに一歩ずつ下がる。
「俺、Aさんのこと好きかも！」
『？俺も犬岡くんのこと好きだよ』
「ほんとに！！？」
ぱっと両手をあげて跳ぶ。
好きだよ、だって悪い子じゃないし。むしろ良い子だ。
その隙に避けようとすると今度は思い切り抱きつかれた。
「うれしい！！！」
『ちょ、犬岡く、苦しい』
「いい加減にしろ」
べりっと彼をはがしてくれたのは黒尾だった。
普段は悪魔みたいな奴だけど良い奴だ。
「やりすぎだ」
「え、だ、だって！！」
ずるずる引きずられていく犬岡くんに苦笑を浮かべながらほっと息を吐く。
「大路さん」
『！？』
耳元で急に囁かれたかと思えば、ふっと息がかけられた。
それにびっくりして変な声出た。
『な、なに！？孤爪くん！』
「何でもない」
それだけ言うとさっさと戻っていく。
「大路さん」
途中、振り返った。
「可愛いね」
『へ？』
笑って囁いた孤爪くんはコートに戻っていく。
その時ちょうど試合開始のホイッスルが鳴った。
その場に取り残される俺に笑い声が聞こえた。
「翻弄してんだかされてんだか」
その正体はやっぱり猫又先生だったけれど。
→
番外編：なんでもお見通し 及川※ぬるいR15→←第６４話：変化
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 265人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏海 - 私も学生です！！中2です（*'‐'*)♪不登校ですけどね（；^ω^） (2015年1月11日 18時) (
レス) id: 68a7985ae2 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 夏海さん» 遅れてごめんなさい･･･内緒です！学生です！笑 もうすぐおばさんかもしれないです！！笑 (2015年1月10日 19時) (レス) id: a6dbb70d76 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 幸海月さん» ほんっとに遅れてすみません･･･全然全然です！がんばります！そう言ってもらえる作品をこれからも作っていけたらと思います･･･ありがとうございます！ (2015年1月10日 19時) (レス) id: a6dbb70d76 (このIDを非表示/違反報告)
夏海 - ちなみに、浅葱さんって年いくつなんですかー？（*'‐'*)♪ (2014年12月30日 22時) (レス) id: 68a7985ae2 (このIDを非表示/違反報告)
幸海月(プロフ) - 浅葱さん» 急かしてしまったようでスミマセン(-_-;)時間が、できたら更新頑張って下さい。浅葱さんの作品大好きっス(*^^*) (2014年11月22日 8時) (レス) id: 76f97dbfe2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：浅葱 | 作成日時：2014年5月22日 6時
