【ハイキュー!!】バレーの王子様Vol.2【男主】

番外編：いらっしゃいませ、ご注文は　及川※もしも王子様がバイトを始めたら ページ39

『いらっしゃいませー』
「あ、いたいた」
「へえ、本当にここでバイトしてたのか」
『げっ』

思わずそんな声が溢れてしまったのは、お客さんであってお客さんでない奴らがきたからだ。
ジャージの集団、青城高校バレー部。
及川を筆頭に岩泉から金田一まで。
烏野メンバー以外にはバイトすること言ってないはずなのに、何で知ってるんだ。


「なあにあの格好良い子たち！王子くんの知り合い？」
『あー、はい、まあ』

パートの山田さんはどうやら面食いらしい。
さすが王子くんのお友達ね！なんて良く分からないことで盛り上がっている。

あー帰りたい。
ちらっと時計を確認すると、仕事終わりまであともう少しだった。




「スマイルくださーい！」
『お客様おかえりですか？ありがとうございまーす』
「まだ何も買ってないよ！？でもスマイルありがとう！」

ひとり楽しそうな及川にため息をつきたいのを我慢する。

「えっとね、これふたつとー」

頼まれた飲み物を作ってくると及川はまだそこにいた。

『･･･お食事はお席までお持ちいたします』
「待ってるよ」

今度は隠さずにため息をついた。

「ため息つくと幸せ逃げちゃうよ？」
『誰のせいだ、誰の』
「お、いつものAだ」

頬杖をつきながらにっこり笑う。
奥で山田さんの悲鳴が聞こえた。

いつもは来るな来るなと願うお客さんも今日ばっかりは違う。
誰か来てくれ。何で今日に限ってこんなに暇なんだ。


「ねえねえ今日何時まで？」
『さあね』
「王子くんなら今日はもう終わりよ」

食事を作ってきてくれた山田さんがさらっと情報漏えい。

「へえ！ありがとうございます！じゃあ一緒に帰ろ！」
『やだ』
「俺待ってるから！岩ちゃんに言ってこよ！」
『あ、ちょ、及川！』

聞いちゃいない。
何で俺が及川と一緒に帰らなきゃいけないんだ。


「ねえ王子くん」
『？なんですか？』

山田さんに呼び止められて、手渡された飲み物。
俺がこの店で一番好きなものだ。

「これさっきの子があなたにって！」
『及川が？』
「貴方たち仲良いのね〜」
『そういうんじゃないですから、ほんと』

お疲れ様です。
山田さんに頭を下げて、帰るための準備を始める。
いつもよりも手際よく支度してるのは、別にアイツが待ってるからじゃない。





(裏の事務所で一口飲んだそれはやっぱり美味しかった)
(はやく支度しよ)




いらっしゃいませ、ご注文は


――――

青城高校付近のMバーガーでバイトを始めました！的な

第６３話：ベンチからでも一緒に→←第６２話：脳と血液

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す