【ハイキュー!!】バレーの王子様Vol.2【男主】

番外編：おかしな相合傘　黒尾 ページ29

『うわまじか･･･』

ひとり呟いたその声はザーザーという大きな音にかき消された。
今朝のテレビの天気予報士。何が快晴だよ、嘘つき。
もう絶対観ない、あのニュース番組絶対観ない。
いやでも、あそこのアナウンサー可愛いんだよな。


「なに百面相してんだ」
『黒尾』

相変わらずの猫背でやって来た黒尾。
その手に持っているものに一瞬舌打ちしそうになった。

『何で今日傘持ってるの』
「雨だからに決まってんだろ」
『だって天気予報では』
「馬鹿、あのチャンネル以外は全部雨マークだったぞ」
『まじか』

黒尾がちゃんと朝の天気予報を確認していることにも驚きだけど。
あの天気予報士がそこまではずす奴だったとは。


「持ってきてねえのか」
『うん、でももう少し待ってたら止みそうだから待つ』
「別に帰りゃいいだろ」
『この雨の中？風邪引けってか』
「違ぇよ、入れよ」
『え』

それ何て言うか知ってるか。相合傘だぞ。
基本的にカップルでやるヤツ。

『家逆じゃん』
「お前ん家行くわ」
『それは良いけど』
「さっさとしろ」

いくら大きめの傘を持っていても、男ふたりで入ればそりゃ狭い。
ああ、恥ずかしい。他人の目がはずかしい。

「もっとこっち寄れよ、濡れるぞ」
『黒尾の方が濡れてるじゃん』
「俺よりお前だろ。すぐ風邪ひくんだから」
『うるさいなー。でも黒尾って本当風邪ひかないよね、馬鹿は風邪ひかないってやつだ』
「･･･お前家ついたら覚えてろよ」
『え、なに』
「さっさと帰んぞ」

自分の家に帰るのにこんなに足が重いのは始めてだ。
そんな俺とは対照的に、黒尾の足取りは軽い。
鼻歌なんか歌ってる。

『何その歌』
「知らねえのか」
『下手くそ』
「･･････そんなにやられてえんだな」
『は？』
「行くぞ」

ひとつの傘に大の男がふたり。
なんておかしな光景だろう。



(ねえやるってなにを)
(家まで待ってろって)
(ねえ待つってなにを)
(楽しみにしてろ)
(･･･自分の家に帰りたくないなんて始めてだよ)





おかしな相合傘

番外編：餌の自覚　及川※吸血鬼パロ→←番外編：最初で最後　菅原※某携帯CMパロ

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