【ハイキュー!!】バレーの王子様Vol.2【男主】

第５５話：気持ちを乗せて ページ23

「大路さーんっ」
『ん？おお、日向！さっそくユニフォーム着たんだね』
「１０番！小さな巨人！ですっ」
『おお、よかったね。似合ってる』

嬉しそうに”１０”と書かれたユニフォームを着る日向の頭を撫でる。
懐かしいなあ、これ。

『内緒話ね？』
「へ？」
『俺も１年の時、１０番だったんだ』
「えええ！！！？」
『ははっ、お揃い』

にっこり笑ってピースサイン。
実際そのあと怪我をしてユニフォームは返してしまったから、今はもちろん違う。

「お、おれっこれ着て良いんですか！？」
『えっなんで？日向がもらったんだから日向の番号でしょ？』
「で、でも大路さん･･･」

急にもじもじしだす日向に首を傾げる。

『うん？』
「大路さんの、番号じゃないですかっ」

ああ、なるほど。
そこまで言わせてようやく理解した。

『ごめんな、気使わせて』

そこまで気にしてくれてありがとう、の気もちと。
そこまで考えてくれなくていいのにな、の気もち。

思わずもう一度日向の頭を撫でた。

「えっ」
『あ、ごめん』

じゃあさ、と笑う。

『俺も乗せて飛んでよ。この番号に』

胸に書いてある”１０”にそっと指を置く。

『俺にも頂きの景色を見せて？』

そこまで言って、俺が言いたいことが伝わったらしい。

「はいっ！！！」

いつものはち切れんばかりの笑顔で、大きく頷いた。







* * *






そして来る５月６日―――
今日は待ちに待った音駒との練習試合。

「A、ちょっといいか」
『はーい･･･うわラベンダー』
「･･･そんなに匂い強いか」
『冗談です』

烏養さんは大きくため息をついた。

「今日だけ音駒の方もサポートしてやってくれ。あっちマネいねえらしくてよ」
『あ、分かりました』

あとで清水にも言っておこう。


「集合！」

大地の声が響く。
どうやら音駒は先に着いていたらしい。

「挨拶！お願いしアス！！」
「「しアース！！！」」

烏野総合運動公園、競技場――

今日ここで因縁のカラスとネコのゴミ捨て場の対決が始まる。









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