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第48話:秘密特訓 ページ13

『よし』

誰もいない体育館で気合をいれる。
早朝も早朝。影山や日向もまだ起きていない時間だ。

鍵は先生に言って昨日のうちに預かっていた。
本当はダメだけど、先生に頼み込んで練習に支障が出ない程度という条件つきで了承をえた。

まずは外周からランニング。
念入りに準備体操をしてから、ボールに触る。
ひとりでぽんぽんとトスをしたりアンダーでとったり。うん、大丈夫、できる。


徐々に身体を鳴らしたところで、コートのバックラインに立った。
今までは威力じゃなくて、コースを狙うジャンプサーブだ。

行けるか、いや大丈夫だ、いける。
自分に言い聞かせるようにして、高くトスをあげた。

それに合わせて、助走から跳ぶ。

―――ぴきん

『っ』

慌てて立ち止まった。
ボールがバウンドする音が虚しく響く。

何だ、今の音。嫌な音。もしかして俺の・・・足?

痛みはない、でも怖い。
何で、治ったはずなのに、何で。



「A」
『烏養さ、』
「バカ野郎!!」
『っ!』

急に怒鳴られて肩が震えた。
今何時だ、もうそんな時間?というか、何でこんなところに烏養さんがいるの。

「いきなりジャンプサーブ打つ馬鹿がどこにいんだよ!負担かけすぎだ馬鹿!!」
『あ、』
「気持ちは現役のままでも身体はあの頃から止まってんだよ!自分が一番分かってんだろ!!」
『・・・う、』
「徐々にやれ!徐々に!!わかったか!?」
『、はい』

その勢いに気圧される形で返事をすると、よし!と頷いた。
・・・いやいや、よし、じゃなくて。

『何で烏養さん、こんなに早く?』
「昨日先生から聞いてたんだ、お前がひとりで無理するかもしんねえって」
『・・・』
「ったくそれにしたって早すぎんだろ何時だと思ってんだよ」

大きな欠伸をした。

「足出して座れ」
『え』
「テーピングしてやる、ないよりはマシだろ」

あ、そういうの全部忘れてた。
烏養さんは素早く丁寧にテーピングを巻いていく。

「焦んな」
『・・・』
「お前の人生はまだこれからだ。ここがゴールじゃねえ」
『ゴール?』
「お前の足は治ってる。あとは少しずつだ」
『あ、』

巻き終わると同時に顔を見上げる。
その強い視線と交わった。

『そ、だよね』
「俺も付き合える時は付き合ってやる。だからひとりで突っ走んな、いいな?」
『・・・はい』
「よし」

俺の返事に満足したように笑って、わしゃわしゃと頭を撫でた。
その大きな手が優しくて、嬉しくて。

『ありがと』

小さく、呟いた。






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夏海 - 私も学生です!!中2です(*'‐'*)♪不登校ですけどね(;^ω^) (2015年1月11日 18時) (レス) id: 68a7985ae2 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 夏海さん» 遅れてごめんなさい・・・内緒です!学生です!笑 もうすぐおばさんかもしれないです!!笑 (2015年1月10日 19時) (レス) id: a6dbb70d76 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 幸海月さん» ほんっとに遅れてすみません・・・全然全然です!がんばります!そう言ってもらえる作品をこれからも作っていけたらと思います・・・ありがとうございます! (2015年1月10日 19時) (レス) id: a6dbb70d76 (このIDを非表示/違反報告)
夏海 - ちなみに、浅葱さんって年いくつなんですかー?(*'‐'*)♪ (2014年12月30日 22時) (レス) id: 68a7985ae2 (このIDを非表示/違反報告)
幸海月(プロフ) - 浅葱さん» 急かしてしまったようでスミマセン(-_-;)時間が、できたら更新頑張って下さい。浅葱さんの作品大好きっス(*^^*) (2014年11月22日 8時) (レス) id: 76f97dbfe2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:浅葱 | 作成日時:2014年5月22日 6時

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