第３７話：狐、”幻影”です ページ38
『ちょっと』
「なによ」
「なんだ」
なんだ、じゃないよ。
『歩きにくいんだけど』
「「え！！！」」
ジャングルに入るまでは良かった。
でも、入って何かの声が聞こえた瞬間に俺の腕にしがみついてくるふたり。
歩きにくいったらない。
「お、お、お前尻尾出しておかなくていいのか！？」
『別にすぐ出せるし』
「ちょっとの迷いが命取りなのよ！？」
『･･･』
しつこい。
さっきから、尻尾を出しておけと強要されるけど。
そんな突然に襲ってくるわけじゃないんだから。
「そそ、そっちは大丈夫か！？」
「え、ええ、こっちは問題ないわ！」
左右を見渡しながら進んでいく。
『あ』
「「え？」」
『後ろ･･･！』
「「！！！？？」」
ゆっくりと後ろを振り返るふたり。
『うっそー』
しかし、そこには自分たちが今まで歩いていた道しかない。
「「A！！！！！！」」
『冗談だよ、冗談』
騙されたと理解したふたりがすごい剣幕で怒ってくる。
それをなだめていると
『あ、』
「「もう騙されない！！！」」
いや、そうじゃなくて本当に。
「「･････････」」
ゆっくりとそちらを向いて。
「「ぎゃあああーっ！！！」」
『ホントに出ちゃった』
「「恐竜ーっ！！！」」
『あ、ちょっと･･･！』
止める間もなく、走り去っていくふたり。
ったくもう、しょうがないなぁ。
『君のせいで、はぐれちゃったじゃない』
―――グルルルル
恐竜に向き直る。
ため息をついて、尻尾を出した。
『･･･座って？』
静かに呟く。
幼子をあやすように、ゆっくりと、頭に響くように。
『座るんだ』
恐竜の目を見たままニコリと笑って。
『妖尾"幻影"―――』
―――グルル･･･
ぺたんと腰を下ろした。
『ふふ、いい子』
近づいて、顎のあたりを撫でる。
"幻影"は相手を惑わす技。
言葉や行動で心を惑わせて、効果が切れるまで従順させる。
動物、また人間でも子どもや純粋な人相手なら簡単にかかる。
もともと、これを使うつもりでいたから戦わないよ、っていう意味で尻尾も出していなかったんだけど。
ふたりには悪いことしちゃったかな。
『乗せてくれる？』
顎を撫でながら囁けば、起き上がり首のところを下げる。
『ありがと』
そこに登り、考える。
･･･とりあえずふたりを追わないと、だよね。
『さっきのふたりの匂い、辿れるかな？』
―――グルル
答えるよう唸って、ジャングルの奥へと進んでいった。
→
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sino(プロフ) - 面白いです！無理せず頑張って下さい！！ (2015年7月23日 12時) (
レス) id: c859159afd (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - Reginaさん» 遅れてごめんなさい！コメントありがとうございます！頑張りますありがとうございます！！ (2014年10月27日 20時) (レス) id: a6dbb70d76 (このIDを非表示/違反報告)
Regina - 面白いです!!続きも頑張ってください!! (2014年10月13日 14時) (レス) id: d693d9f1e0 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 銀狼サイアさん» 本当に遅れてごめんなさい！コメントありがとうございます！ 停滞してしまっていますが書きためはあるのでこれからがしがし更新していきたいと思います！！頑張ります！！ (2014年10月13日 8時) (レス) id: a6dbb70d76 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼サイア(プロフ) - 面白いですね!!更新待ってます!! (2014年9月28日 9時) (レス) id: e347321cdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：浅葱 | 作成日時：2014年4月20日 11時
