【ハイキュー】バレーの王子様Vol.1【男主】

第３９話：お前らは大丈夫 ページ49

２セット目は大きな点差も無いままに進んでいく。

その時だった。
旭がスパイクで跳ぶ。

ブロック遅れたな。

『あ、日向っ！！』
「えっ」

ぼうっとしていたらしい日向はそのまま――顔面キャッチ。
スローモーションのように、後ろに倒れていく。

『日向！？』

救急箱を持って、日向の元へ走った。

『大丈夫！？』
「うーっ」

「あっ生きてる」

縁起でも無いこと言うな。

「ああゴメンなああ」

お前は落ち着け。

『見せて』

額を抑えて涙目になっている。
･･･特に傷とかにはなってなさそうだ。
ほっと、息をついた。

『気分悪かったりする？』
「あっいやっだいじょぶです、」
『良かった』

起き上がる日向の頭をゆっくり撫でた。

『気をつけなよ、本当に』

俺の表情で相当心配をかけたと思ったのか焦った口調で言う。

「ちょ、ちょっと躱しきれなかっただけで･･･顔面受け慣れてるし！」
「慣れるなよ･･･」
「あはは･･･はっ！？」

苦笑する孝支の奥。
禍々しい気配を感じ取った日向は、声をあげた。

視線の先には妙なオーラを纏った影山が居た。
･･･ひとり横目でニヤついてる奴もいるけど。

「いつまで摩ってもらってんだ･･･」
「い、やっも、もう大丈夫ですっ」

あざーす！と日向は俺の手を払う。

「なにボケェーっとしてた･･･試合中に」

飛び上がる日向は影山と目を合わせないようにしている。

「俺は知ってるぞ･･･」

自分の一番の武器が囮なんてかっこわるい。
東峰さんみたいなタッパとかパワーがあればエースになれるのに。

「そっそんなこと思ってない！･･･くもない･･･けど」

影山が話す日向の心の内。

「興味とか憧れとかの他に―――嫉妬してたろ」

影山は続ける。

「試合中に余計なこと考えてんじゃねーよ」
「･･･もともとでっかいお前になんか絶対わかんないんだよ！！」



* * *


「よし！じゃあ続きを始めよう！」

一時は中断した試合も大地の声で再開されることになった。
でもまだそこに俯きながら立っている日向を見つけて、小さくため息を吐いた。

『日向』
「わっ」

髪の毛をぐしゃぐしゃとかき回す。

『言葉が足らないだけだよ』
「えっ？」
『大丈夫』

慌てて顔をあげる日向ににっこりと笑う。

『行ってこい！』

背中をぽんっと押した。


それを見ていた影山の頭を同じようにぐしゃぐしゃにした。

『影山も』
「えっ」
『大丈夫、絶対』

微妙な顔をして頭を下げてコートに戻っていった。







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