第１話：ファンとの遭遇 ページ2
「A」
名前を呼ばれて顔を向けると清水がいた。
『？何これ』
「今年の入部希望者」
『何で俺にみせるの？』
「何となく」
何となくって何だ。
「それだけだから」と言って清水は教室に戻っていった。
２枚か、少ないな。俺には関係ないけど。
* * *
「あ、A良いところに！ね、一緒にご飯食べない？」
『良いよ』
「行こう！」
誘いに笑顔で答えると、よしっと腕を掴む。
訳も分からず連れられるままに孝支の後を追った。
「あ、あのっえっと！」
さっきからこの状態の目の前の彼。
孝支に連れてこられたのは裏庭だった。
「ほら日向！お前、Aに会いたいって言ってただろ！？」
「そ、そうなんですけどっ いざ目の前に居ると！」
「ったくしょうがないな。日向翔陽。Aのファンなんだって」
『ファン！？』
信じられない言葉を思わず聞き返すと、ぶんぶん頭を縦に振る。
「大路さんのアタックが好きで、俺っ」
面と向かってそんなこと言われたの初めてでどうしたら良いか分からない。
『で？ここで何してるの？』
「日向の練習に付き合ってるんだよ」
日向ともうひとりの一年。これがどうやら中学時代のライバルで、仲間意識が持てない。
それに大地の出した解決策は、１年生同士の校内試合。
「あいつ王様だから･･･」
『王様？』
「そう。中学時代の異名なんだって」
”コート上の王様”独裁政権に成り立つ王様。
「それ言うとめちゃくちゃ怒るっす･･･」
『だろうね』
「あ、やっぱりAも分かる？」
「えっ 格好良いのに！？」
『格好良くないよ』
びっくりしたように言う日向に苦笑する。
『好きじゃないんだ、アレ』
”バレーの王子様”
なんて、よくそんな恥ずかしいことが言える。
俺の場合は、苗字のせいもあるんだけど。
「あ、あの大路さんっ」
『ん？』
「バレーしないんですか？」
『･･･しないよ』
その直球の質問に一瞬困った。
俺以上に困った顔をしたのは、たぶん孝支。
寂しそうな顔をしたのは日向。
なんでお前がそんな顔するんだろう。
「日向、そろそろはじめよう」
「あ、はいっ」
「Aに見てもらおうと思ったんだけど、どう？」
「えっ 教えてくれるんすか！？」
『孝支』
目をキラキラとさせる後輩を無碍にできるわけもない。
それすらも孝支の作戦勝ちかと思うとどこか悔しかった。
「あざーす！！」
『･･･うん』
そんな笑顔されたら、いいかなって思えてくる不思議。
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 622人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
☆神雲☆ - すっ…………菅さん………、天使……… (2017年11月23日 22時) (
レス) id: 31a5141faf (このIDを非表示/違反報告)
炎人氷柱眼帯歌唄お鈴虹猫の姫君(プロフ) - 浅ちゃん、うん忙しいからしたかないよ、更新頑張ってね！ (2014年10月13日 16時) (レス) id: 2e52a946c5 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 炎人氷柱眼帯歌唄お鈴虹猫の姫君さん» 姫ちゃん！！遅れてごめんね！！ひさしぶり！！！！ (2014年10月13日 8時) (レス) id: a6dbb70d76 (このIDを非表示/違反報告)
炎人氷柱眼帯歌唄お鈴虹猫の姫君(プロフ) - 浅ちゃああああん！！久々！ (2014年9月24日 16時) (レス) id: 5382ccf214 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 黒宇佐さん» コメントありがとうございます！黒尾さん格好良いですよね！！もしここのお話にあのかっこよさが表現できていたら嬉しいです･･･！本編にもそろそろ登場だと思うので、ぜひぜひよろしくお願いします！！！ (2014年6月3日 5時) (レス) id: a6dbb70d76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：浅葱 | 作成日時：2014年4月6日 17時
