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声 ページ5
「ただいま戻りました」
僕は軍服をきっちり着こなし、大佐に敬礼を執っていた。
大佐は苦笑いを浮かべる。
「休暇なんですから、そういう報告はいちいちしなくていいんですよ。それに次の出撃の目処は立っていませんし、実質まだまだ休暇でもいいくらいです」
大佐は落ち着いた所作で書類をとん、と机で整える。
「まあ、紫淋くんが自分から休暇を申し出てくれたのは嬉しいです」
「僕がいるとできない任務でも?」
「まさか! 働きづめの部下を心配しているんですよ」
そんなに働いているつもりはないが。
だが、もう休暇は消費した。引き続き出撃を待つことになる。
失礼します、と出ていきかけたところで、
「紫淋」
びくりと全身が、心が震えるような声に呼ばれた。
「なんでしょうか、大佐」
努めて冷静に振り返る。大佐は悪戯っぽく笑んでいた。
「呼んでみただけです」
……やめてほしい。強いパズルなのだから。心の欠片かもしれないと、心がざわつくから。
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作者名:九JACK | 作成日時:2019年4月17日 22時