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幸せ ページ10
それに異を唱えたのは、普段は物静かな赤梨さんだった。
「残酷などではありません。私たちは孤児として捨てられ、もしかしたら一生愛というものに触れられずに死んで行ったかもしれないのです。それなら、燈狩と出会わせてくれたこのパズルという性を愛することもできます」
普段大人しい赤梨さんがそんな風に強く言うものだから、僕も黄瓶さんも驚いた。燈狩さんだけが得意げに笑っていた。
「ボクも、赤梨と出会えて幸せだな」
「そうですか」
幸せを語る二人を微笑ましそうに見守る黄瓶さんはこの教会に祀られている慈母神のようだった。言わないが。
「小さくても、幸せがそこにあるなら、それはそれでいいんじゃないですか?」
僕が言うと、黄瓶さんは静かに頷いた。
それから、怪訝そうに眉をひそめる。
「……それで、争いは避けられそうにありませんか」
僕はその質問にずきりと胸が痛んだ。
──僕は戦争に駆り出されるのだ。
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作者名:九JACK | 作成日時:2019年3月24日 13時