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パズルとピース ページ8
他愛もない話をしていると、教会の礼拝堂の扉がその静謐をよしとすべき場所にあるまじきばたんという物々しい音を立てて、聞こえよく言えば元気よく開いた。
「あ、紫淋だ!」
「燈狩(ヒカリ)、年上の人には敬称つけないと……ごめんなさい、紫淋さん」
入ってきたのは赤みがかった金髪をさらさらと長く伸ばしている女の子と、色素の薄い赤髪を顎くらいまで伸ばしている女の子だ。年頃は僕の少し下。僕は15なので、13歳くらいと思われる。
「大丈夫ですよ、赤梨(アカリ)さん」
元気なオレンジの長髪の方が燈狩さんで薄い赤髪が赤梨さんという。この教会に預けられている孤児である。
溌剌とした燈狩さんの琥珀色の目は見えるのだが、赤梨さんの目は包帯に覆われていて、ついぞ見たことがない。ただ、目が見えないため杖をついて歩く赤梨さんにはいつも燈狩さんがついている。今も手を取り合って、仲睦まじい様子だ。
それもそうだろう。二人はかちりとはまったパズルとピースなのだから。
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作者名:九JACK | 作成日時:2019年3月24日 13時