パズルバース (ページ21)

今日:7 hit、昨日:10 hit、合計:8,292 hit

極秘任務ページ21

赤い長髪を項で括り、包帯で目元を隠した青年と、藍色の髪に黄瓶さんと同じ、金色の目をした女性が僕に声をかけてきた。
この国で僕の名前を知っている人が軍人以外でいるのは奇妙な気がした。こんなに変わった容姿をした二人をただでさえ直感記憶を持つ僕が忘れるわけもないだろう。あちらからの潜入工作員であれば、僕に前もって連絡があるはずだ。
となると消去法的にこの二人はこの国の一般人となる。そんな人が僕を知っている。なんだろう。厄介事の臭いしかしない。
僕は目立たない路地裏で話を聞くことにした。といっても、ただでさえ浮いた容姿の二人に、紫がかった灰髪の僕が目立たないわけがないのだが。
どうやら状況は切迫しているようで、女性の握りしめた手が震えている。
それを裏付けるように女性が深刻な声で言った。
「私たちは早くこの国を出なければいけないんです。紫淋さんに手引きしてもらうのがいい、と牧師さまに聞きました」
牧師──黄瓶さんと関わりがあるのだろうか。
「聞きましょう」

複雑な関係→←国境の街