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僕の穴 ページ3
僕には穴が空いている。何故かわからないけれど、それは確信している。
紫淋というこの名前を呪ったりもした。淋しいなんて、名前に使うような文字じゃない。
まあ、何故この名前なのかわからない。けれど僕はこの名前で、シリンという音もわりと気にいっている。
カーテンを開けて、零れた光に目を細める。毎日のことだが、未だにこの明るさが自分に降り注いでいるものだと実感できないのだ。
僕は眼下の街を見下ろした。
この世界にはパズルという人種が存在する。多方面の才能に秀で、しかし感情が一部分、もしくは大部分が欠けている人種。感情の有無はともかく、できる人が多いので、社会的地位の上層を占めるのは、パズルの人々だと聞いた。
と、眺めていた窓に、僕の翠の瞳が映る。……これは本当の僕の色ではない。記憶能力を発動させるときに何故か目の色が変わるらしい。
──この世界にはもう一つ、人種が存在する。
それはパズルの欠如した感情を埋めるピースという人種。
どうやら僕はピースらしい。
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作者名:九JACK | 作成日時:2019年3月24日 13時