30 ページ30
.
いつもの少しワクワクした気持ちなんてなく、どんよりとした気分で教室のドアを開ける。また、いつもの日常に戻ってしまったと私は思う。なんだかんだ、最近は毎日ワクワクしていて楽しかったのだ。
「あ...あの」
私が声を掛けたのはハオと仲がいいいかにも"一軍"ですというような女の子。
「...何?」
私のつま先から頭までじろりと睨むような目付き。
それに負けそうになりながらもなんとか声を絞り出す。
「二人三脚変わって欲しくて...」
その言葉を聞くとぱっと表情を変え、馬鹿みたいに強く私の手を握ってくる。
「え!?いいの?ほんとに?」
私には分かる。この子も好きなんだハオの事を。
「うん。」
「Aちゃん今度から一緒にご飯食べる?ずっと仲良くしたいと思ってたんだよね〜」
さっきとはまるで違う対応に私はこんな人にはならないと誓いながら
「いや大丈夫ありがとう」
そう言って自分の席へと戻る。
少し経った頃、ハオが教室へと入ってくる。
「ねーハオ!私が二人三脚になったよ」
『は?』
「Aちゃんがやってって言ってくれたの!ね?」
私の方を見ながらそう言ってくる。
素直に頷くと、ほらと言ってハオの方に絡みつく。
そんな所見ていたくなくて本の世界へと逃げ込む。
___________
ふと、誰かの目線を感じて上を見上げる。
『Aまじでやんなくていいの?』
「うん。やりたくないから。」
恋をしてから私はよく自分に嘘をつくようになった。素直に言えればいいけどそんな事私ができるわけも無い。
『ふーんならいいけど』
大して気にしてなさそうにハオが言う。
こんな細かい事で勝手に傷ついている自分に嫌気がさす。
そこからというもののハオとは話さなくなってしまった。
.
613人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゅあ(プロフ) - ???(みなみ)さん» ありがとうございます︎^_^♩ (6月3日 0時) (レス) id: 0a76995f3d (このIDを非表示/違反報告)
???(みなみ)(プロフ) - 読ませていただきました!続きが気になりました! (6月2日 9時) (レス) @page12 id: 38bc2a156b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にゅあ | 作成日時:2023年5月27日 17時