【全完結】佐藤鈴木田中参 (ページ47)

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「マサムネくん、ごめんね？俺のせいで今ヒノエ機嫌悪いんだよねぇ。」

「は？お前ヒノエになんかしたの？」

「んーとね、」

「…言わないで。」

ミズシマが言いかけた言葉を言わせまいと、声をかぶせるヒノエ
ギロッと、睨むヒノエの顔はいつになく険しかった
そんな二人の様子にマサムネは違和感を感じながらも黙っている

「俺、ヒノエにチューしちゃった。」

少しの間に流れた沈黙の空気をぶち壊した言葉は最悪だった

ヒノエはもう反撃する元気もないようでただうつむいている

そんなヒノエを知ってか、マサムネはミズシマを睨むでもなく、
怒るわけでもなくただ平然としていた

「…へぇ。」

「……あれっ、それだけ？」

「………んな訳ねぇだろ。」

マサムネはそばにあったコップの水を頭の上からミズシマにかける
水に濡れた髪の毛の毛先からは水がボタボタとしたたっていく

そんな異様な現場に周りの一般客も、クラスの人も目を丸くして驚く

しかし、そんなこともお構いなしにマサムネは
ヒノエの腕を掴んで立ちあがらせる

「…行くぞ。」

マサムネはヒノエの腕を強引に掴んで教室を出た

「あの、大丈夫ですか。」

客として来ていたここの学校の女子生徒が
心配をしてミズシマにハンカチを差し出す

「あぁー大丈夫だから。ほら、水も滴るいい男ってやつ？」

ミズシマの間抜けな発言に少しポカーンとした女子生徒

そんな彼女の頭をポンポンとなでて「ありがとね。」と一言告げると
ミズシマも教室を去った

「あーあぁ、ホントやってくれるよねぇ。」

濡れた毛先を指先でイジるミズシマ
彼の濡れた頭には通りがかる人全員の注目の的を浴びている

「…がんばれ、ヒノエ。」

ミズシマは保健室へと足を運んだ