Kiばかりの妄想小話

Y.一日幸せ -3 ページ5

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...



「…うまいね、これ。
　なんか手間かけてるでしょー。」

「さっき電話してから作ったんだよ」



「ん、そなの？…じゃあ、あれだ。秘伝のレシピ」

「かっこよく言えばね(笑)
　ちょっと隠し味入れてるだけ。何かわかる？」






口いっぱいに頬張って、
もぐもぐと眉間にしわを寄せている。

その姿を遠慮なく正面から見つめさせてもらうんだけど

味を探って色々な方向をキョロキョロしている。



ピタリとそれが止まって俺と数秒見つめあい

にっこり微笑みながら、口内の物を飲み込んだ。






「…当てていい？」

「自信あるんだねぇ」



「んふふ、無いよ。
　でも、当てたい」

「どうぞ」








「よこーさんのあいじょー？」








「北山さんズルいなー。
　ソレ、入ってないのないからね」






「あはは、俺の勝ち？」

「勝負だったの」



「うん。だから、明日の現場入りは俺の足になれよ〜」






卵持ってくるにしては大きい鞄だと思ったよ。


最初からそういうつもりだったんだね。






テーブルの下で足を伸ばして、
ミツのすねを突っつく。


気付いた彼がちょっと照れくさそうに笑うのを見て





まだ半分。



だけどもう十分、

一日分の幸せを手にしたんじゃないかな。









「あー……と、これ、勝負なしね？」

「ん？」





「これ、牛乳かな？
　…んで、こっちが多分ネギか、炒めた油」




あら。

なんだ、やっぱり舌がいい。






「大体正解、すごいね」



「マジで？やったね。

　…ま、でも勝負は確実なほうで〜♪」








自信ないって言ったくせに(笑)






…でも、

それも正解。






(fin)

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