Kiばかりの妄想小話

M.新たな世界勉強中 -2 ページ34

「いっぱいあんね？……どれどれ」

「わ、マジで、だめだって！」



本の扱い方に不満があって言ってるわけじゃないの！

借り物だから、ってのも問題じゃなくて



その中は……



「……みや…、たま。」

「あ、あはは。」



「これが噂のびーえるですか」

「……はい、勉強中です」



オタ友の親戚のご友人の姉妹の…ご趣味だそうです。



友には俺の存在を固く秘密にしてもらい
お勉強のために、なんとかお借りしております。




「ふーん？」

「わ、もう、返してよ」



適当に手にしただろう一冊を、彼はパラパラ捲り始めた。


特殊な世界、気分を害されては困るんだけど…。





「みや、いっつもヘラヘラしてむかつく
　俺のこと、本当はどう思ってるの？」



「……は？」



「聞かせてよ。」





北やんの大きな瞳が、不安気に俺を捉える。


どう、って…。

……俺は、どう、思うって……そんなの、



「北や、」

「タマのこと、好きだよ。これは仕事なんかじゃない」




声色を変えた北やんが、目を細めて続けた。


え？なんでいきなりタマ？？




「ふぅん、思ったより普通にドラマみてぇな恋愛物？」



パラパラと紙を捲くる指先。


最後まで終わると、彼はまた次の一冊に手を伸ばした。






……お、俺、何を考えてんだ。



北やんは、手にした作品のセリフを読んだだけだった。



それなのに

彼の瞳のせいで、ぼんやりした感情に、名前が付いた。





そんなの、どうしようもないのに。





「あれ？これ宮田じゃねーや……あ、藤ヶ谷？
　ﾌﾟﾌﾟﾌﾟ、宮田振られてんね？」

「……種類は色々あるんだってさ」



「ほへー。みやたま萌してるんじゃねーの？」

「そうじゃなくて、びーえるの萌えの勉強、だから」



「なるほ……お、俺のもあんね？」


嫌悪感より興味が勝るものだろうか

自身の名前が記載される本を手に取っている。




「……へぇ……ん？はは、あの時の話かな、これ(笑)
　そんな風に見えるもんかなぁ」


「北やん…、もうやめてよ」


「ずっと、隣で見てた。俺、好きなんだよ……藤」





「いい加減にしろって！！」





「……っ？？！」






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