43話 ページ44
加州side
大きな満月が夜空の真ん中で輝いている夜だった。
一期「お隣、いいですか?」
加州「うん、どうぞ」
秋の夜風は肌寒い。
なのに羽織を着て、熱燗をわざわざ外で呑むには理由があった。
安定「聴きに来たの?」
一期「はい。…初めて聞きました。なんとも美しい音色ですな」
うっとりと目を閉じ、一期は微笑みを浮かべた。
…それこそが俺たちが外にいる理由。
主が三味線を弾いているからだった。
ゆっくりとしたテンポの曲は哀愁漂う秋の夜に切ないくらいに相応しかった。
窓の戸を開け放ち、月光を浴びながら主はかれこれ1時間程弾き続けていた。
部屋の中じゃ聞こえにくいからちょっと寒くても外で聴いておきたい。…それくらいに主の奏でる音がすごく好きだから。
安定「……だいぶ、落ち着いてきたみたいだ」
加州「そうねー。ま、そりゃ主だし?」
安定「うん、そうだね」
拉致未遂事件があってから数日
俺たちが心配していたよりも主の心身の回復は早かった。
もちろん心の方は完治することのない傷になっちゃったんだろうけど、毎日恐怖で打ち震えることはなかった。
少しずつ自分のペースで歩み寄ろうとしているのが俺たち刀剣も分かっているから、また穏やかな日々が流れ始めようとしている。
一期「…ですが一度に大太刀が二振りは正直心配です」
安定「……あの時の追っ手にもいたからね」
加州「………」
そう、ここで突然心配事が出てきた。
今日鍛刀出来た刀と戦場から持って帰ってきた刀がどちらも大太刀だったことだ。
主はそれを見てすぐにその二振りが何の刀なのかを見抜いたようだけれど、長谷部の提案により明日に顕現することになった。
この本丸で初めての大太刀だ。
加州「…1人じゃない。主は俺たちのことをちゃんと頼りにしてるよ。だから…きっと、大丈夫」
もう最初の頃より
何倍も大きく成長してるから。
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奥山乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します!出来たら全員のキャラに愛されたいです!(恋愛的に)あと落ちは出来れば全員落ちみたいなのが見てみたいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2022年12月19日 12時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
ぱや(プロフ) - れもねーどさん» ありがとうございます、とても嬉しいですっ!!続編を読んでの全体の感想などいただけると更に嬉しいです!続編もよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年5月26日 23時) (レス) id: 855b0898b1 (このIDを非表示/違反報告)
れもねーど - めっさ面白かったです!思わず一気読みしてしまいました…。これから続編読んできます! (2019年5月25日 20時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
湖@清光可愛い鯰尾君可愛い亀ちゃん大好き!!! - お、面白過ぎです!面白過ぎて一気に読んじゃいました!続編も見ますね! (2018年1月26日 22時) (レス) id: 073b3b6cdc (このIDを非表示/違反報告)
ぱや(プロフ) - 栗鼠さん» わあぁぁぁ!いやもうそのお言葉がなんていうかめちゃめちゃ嬉しいです…!ありがとうございます、頑張ります! (2017年11月24日 20時) (レス) id: ab4af77f12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱや | 作成日時:2017年10月20日 20時