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42話 ページ43

小夜side





小夜「……ねぇ宗三兄様。なぜこいつの世話をしないといけないの?」





僕の主がたくさんの怪我を負った。


昨日まで『小夜くん小夜くん』と透き通るような声で僕の名前を毎日読んでいた主が、


今度は鮭を獲りに行こう、と楽しげに提案していた主が、


ボロボロになって、血を流して気を失っていた。





小夜「僕はこの鷹が嫌い。殺してしまいたい。…主に毎日不幸の手紙を届けていたこいつが…憎い」


宗三「…お小夜……」





主が可愛がっていた鷹は敵の鷹だった。


…主が哀しそうな顔で鷹と戯れていたのを鮮明に思い出す。


嫌な手紙をもたらすのがその鷹だと分かっていても、『この子は何も悪くない』と言って鷹の手当をし、餌をやり、何度も世話をした。




…昨日の晩に全ての話を聞き、やり場のない怒りを持て余していた。


最近誰も審神者部屋に入れなかった理由は、毎日送られていた大量の手紙の存在を知られないようにするため。


この間焼き芋をしたのはその手紙を燃やすため。


1日1回“べらんだ”に出ていたのは鷹が持ってきた手紙を回収するため。





誰もその異変に気付けないくらい、主は隠すことが上手なんだと思い知らされた。





宗三「…僕も同じ気持ちですよ。なぜあの人を惨事に巻き込んだ鳥を可愛がらなくてはならないのか。……僕だってこの鷹が憎いし、今すぐにでも斬り捨ててやりたい」





主が庭で小鳥に餌を与える木に止まる鷹に手を伸ばす宗三兄様。


鷹はバッと飛び、警戒しているように1本奥の木に止まりなおした。





小夜「なら、」


宗三「でも仕方ないでしょう?…あの人がこの鳥を大切にしているのですから」





優しく、穏やかな声に思わず兄様を見ると、鷹の代わりに僕の頭を撫でる。


鷹は大きく翼を広げ、いつものように主の部屋へと飛んでいった。





宗三「僕はあの人の大切にするものを大切にしたい。それだけです、あの鳥の世話をする理由なんて」





兄様の言葉に自分が以前栗を拾って来た時に同じことを思ったことを思い出し、ハッとする。


そしていつものように主の部屋の窓辺で羽をまた休める鷹を見つめ、





小夜「……僕も、そうする」





兄様と同じ思いを刻んだ。

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奥山乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します!出来たら全員のキャラに愛されたいです!(恋愛的に)あと落ちは出来れば全員落ちみたいなのが見てみたいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2022年12月19日 12時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
ぱや(プロフ) - れもねーどさん» ありがとうございます、とても嬉しいですっ!!続編を読んでの全体の感想などいただけると更に嬉しいです!続編もよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年5月26日 23時) (レス) id: 855b0898b1 (このIDを非表示/違反報告)
れもねーど - めっさ面白かったです!思わず一気読みしてしまいました…。これから続編読んできます! (2019年5月25日 20時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
湖@清光可愛い鯰尾君可愛い亀ちゃん大好き!!! - お、面白過ぎです!面白過ぎて一気に読んじゃいました!続編も見ますね! (2018年1月26日 22時) (レス) id: 073b3b6cdc (このIDを非表示/違反報告)
ぱや(プロフ) - 栗鼠さん» わあぁぁぁ!いやもうそのお言葉がなんていうかめちゃめちゃ嬉しいです…!ありがとうございます、頑張ります! (2017年11月24日 20時) (レス) id: ab4af77f12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱや | 作成日時:2017年10月20日 20時

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