主、男性恐怖症なんだって

17話 ページ18

審神者side





秋田「あ！主君、鶴丸さんが戻って来ました！」





秋田くんにそう言われ、反射的に肩を揺らす。


骨喰くんがスッと音もなく台所の勝手口側に立ち、大倶利伽羅さんがピクっと眉を寄せた。




…2人ともすごく優しいんだよね。




骨喰くんなんて「鶴丸」と聞くだけで私の近くに控えてくれるし、大倶利伽羅さんは無言で鶴丸さんを回収してくれる。


最初は大倶利伽羅さんめちゃめちゃ怖かったけど、私と馴れ合うつもりがないそうなので意外にもいける。





鶴丸「今戻った！主はここか？」


秋田「夕食を作ってくださっていますのでお引き取りください！」





秋田くんは初鍛刀の刀。
小さくてかわいいんだけど、短刀の中でも本当に頼り甲斐がある。


そう、こんな感じでね！





鶴丸「…これでもダメか？」


秋田「！」





勝手口の方から聞こえる声


鶴丸さんがどうやら秋田くんと交渉しているらしい。


秋田くんが小さく息を飲んだのが聞こえた。
…鶴丸さん、蛙でも持って帰って来たのかな。


そして…





鶴丸「よっ、君！」


『あ……お、お疲れさまです…』





ヒョイと秋田くんを退けて鶴丸さんが顔を出した。


しかし台所に入ってくる素振りは無い。





鶴丸「改めてあの時は急に驚かせてすまなかった」


『い、いえ…』


鶴丸「それで……あー、その…お詫び、といってはなんだが…」





そこで鶴丸さんは扉の前に立ち、後ろ手で隠していたものをパッと出した。


両手に収まっているそれは、





『……！』





色とりどりの小さな花束だった。





鶴丸「……花が好きだと聞いたんだが…どうだ？もらってくれるか？」


『えっ、あっ…はい…！』





おずおずと近づきながら受け取る。


鶴丸さんから土の匂いと花の匂いがいっぺんに香ってきた。





『え、えっと…！あの、嬉しいです、ありがとうございます…！早速、水に挿しておきますねっ』


鶴丸「…っ……！…あ、ああ…気に入ってもらえたなら、よかった」





思わず笑みがこぼれ、花束を抱きしめる。




____________鶴丸さんはきっと怖くないし、悪い人じゃない。




……そう、思えた。

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