転校生は加古隊のオカン 5

19日目 ページ39

黒江side





加古「…A。私はね、あなたが幸せならいいの」


貴方「………ありがとうございます」





穏やかな表情の加古さんと対峙する強張った顔のAさん。


なぜAさんの顔が強張っているかというと…





加古「でも私のAに男が出来るなんて…！しかも三輪くん！！」





加古さんが叫び出す予想がついていたから。





貴方「…私が幸せならいいんじゃなかったんですか？」


加古「私が寂しいでしょ！？」


貴方「自分の言ってたこと5秒でひっくり返しましたね！？」





三輪先輩に手を引かれてどこかへ行ってしまったAさんは帰って来るなり、「…彼氏出来ちゃった」と可愛らしく報告した。


言うまでもなく隊室からはこの世の終わりが訪れたかのような悲鳴が響いた。


風間さんに怒られた。





小早川「A…」


喜多川「私たちのこと…忘れないでね…？」


貴方「私は遠征に行く人なの？？」


加古「これ以上遠くに行かないで！」


貴方「行きませんから！！」





すると、犬飼先輩からLINEが来た。





すみはるん二宮隊壊滅


すみはるん二宮さんの魂が緊急脱出





Aさんが三輪先輩と付き合い始めたという情報は凄まじい威力を持つようで。


普段連絡を取らないような人からもLINEがくる。


駿はうるさいからブロックした。


木虎先輩からのLINEは見て見ぬ振り。





貴方「…そろそろランク戦の見直し始めていきますよ」


加古「三輪くんのところは抜きでね」


貴方「A級部隊なんだからどう足掻いても当たるんで見ないとダメです」


加古「やだぁぁぁぁぁぁ」


貴方「ほーら加古さん、そろそろ静かにしないと風間さんにまた怒られますよ」


加古「これはもう二宮くんと飲みに行かないとやってられないわね…」


貴方 (あっ、それヤバいやつ…)





頭を抱えるAさんの目の奥の光は明るくて、


幸せが映っているように思えた。

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