秘密と蜜 ページ10
既存の物では足りない。
捜査に必要な物は自ら製作した。実験を繰り返し、新たな試薬も道具も。
科学を捜査に、科学は日々進歩している。それを扱う人間の進歩は……未だにここイギリスは停滞している。
そんな考えの俺にも、進歩していない部分があった。俺は口先だけで終わる人間じゃないんだ。
「……ユーク、手を出せ」
「あら、可愛らしい蝶々の指輪。シャロの薬指に嵌めたら、人差し指のドクロと真逆の魅力で、むしろ調和する……かしら？」
「俺ンじゃねーよ!! お前にやる、それでも小さいんだからな、サイズ的に男のだからユークの親指で少しゆるいくらいだろ」
ユークは捕まえようとすれば、ふわりと風に舞いながらヒラヒラ悪戯に飛ぶし、芳しい花に止まる蝶だ。
時折水辺にも現れ人を惑わす姿はまさに――蝶。
「浮気何てしないわよ？」
「ユーク、お前が俺に一途なのは知ってるし、この関係が一番いいのは互いに理解してる。だからこそ、俺の元にいつでも来いって意味でだな……」
少しはにかんだユークを見たのは久方ぶりだ。
「シャロがよぼよぼになってボケても、私はこうして来るわよ？ もしも私がボケちゃって、マイクロフト兄様がいらっしゃらなければ指輪を回収にシャロが来るってことね？」
そこまで先を読むな、確かにそうだけどよ、クソ兄貴が早々に墓の下の住人になるイメージが浮かばない。
「俺はこの調子でいるのがいい、誰もが欲しがる幸せってのはしっくりこない」
「知っているわ」
「だよな、だからこそケジメだよ」
縛る意味じゃない。目印だ。
ユークの指に嵌まってようが、なかろうが……クソ兄貴に嫌味を言われたくないしな。
「私が優秀なユークを囲っていると噂を立てられた」
「ユークは仕事の割り振りが丁寧で、急に人手が足りなくなってもメイドとユークだけで回していることもある」
「メイドにさせておくには勿体ないと言われ、大金を積まれたよ。丁重にお断りしたがね」と、ユークを愛人にしたいと言ってくる輩がいると、先日ここに来て言った。
「仕事中は首にでもぶら下げて、人に何か言われたら見せりゃいい」
「マイクロフト兄様、余計な事を話したわね？」
「モテる女は大変だな」
「大変なのは毎回、情報部や休みの日に押し掛けてくる方々を断るマイクロフト兄様」
何度も使用人や愛人として引き抜きの話があったとユークの口から聞かされるのは、予想以上にキツイ。
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わらび(プロフ) - この作品を最初から読んでみたいです。パスワードを教えていただけないでしょうか？よろしくお願いします。 (5月10日 16時) (
レス) id: 34508226ea (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - 初めまして。この作品をはじめから読みたいのですがパスワード教えていただけないでしょうか? (2022年10月1日 10時) (レス) id: 103a1a1ae5 (このIDを非表示/違反報告)
らら(プロフ) - はじめまして。この作品を最初から読みたいのですが、パスワードを教えていただけないでしょうか。 (2022年4月20日 0時) (レス) id: 44fed9ee68 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクミント(プロフ) - パスワードを教えてもらえませんかお願いします (2022年4月14日 13時) (レス) id: ec7fbc943f (このIDを非表示/違反報告)
skyzero - 初めまして。この作品を最初から読ませて頂きたいのですが、パスワードを教えて頂けませんか？ (2022年3月22日 23時) (レス) id: 034e636663 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MUMU(かとえ) | 作成日時：2020年1月29日 3時
