有耶無耶 ページ4
愛人を取っ替え引っ替えで相手をされない惨めな女、伯爵夫人の強がりのような矜持と周囲の女への高圧的な態度。
男、伯爵への憎悪。
理解していても納得できないことは多々あるだろうよ、殺意の矛先がたまたま夫人に向くべくして向いたのかもしれないが……。
「でも、裁判はない」
「…………内々で消しやがった」
「よくあること。これからよ、シャロ」
「……」
二人に自首を、という流れにはならなかった。伯爵の醜聞を揉み消す為に。
「これでよかったのよ」
「本気で言ってんのか？」
「不服なら、仕事は慎重に選びなさいよ」
「ユークお前――」
不自然な依頼だった。広告も出していない昨日の今日でここにくるか？ あんな早朝にユークは身仕度を整えて……否、ユークが連れてきたんだ。
「ホームズ家に通いとは言え、物心ついた時からお仕えしてる幼馴染みよ」
「兄貴か？」
「私の判断」
でもこれで多少は仕事が来やすくなるわ。
「お前ならどこの使用人の情報でも簡単に手に入るんだろうな」
「そうでもない。ガタついたお家の不満を持ち過ぎた使用人から、買い出しの時に会ったりして少しだけ愚痴や噂を耳にする程度」
「つか、紅茶はまだかユーク」
「その態度はなに？ 幼馴染みとして？ 昔からのホームズ家の通いのメイドとして？」
は？ ユークは、ただ何時だってそこに居る奴……、そこに居る？ そこって？
「私はホームズ家にお仕え、と言っても昔と違って雇用主はマイクロフト兄様」
「兄貴のとこにほぼ居ないクセにか？」
「簡単に言うと貸し出しメイドね。マイクロフト兄様の信用と、相手の信用があって初めて貸し出されるし」
仕事が出来て、何より口が堅い……と言ったって兄貴には筒抜けだ。
兄貴が必要な時にユークが見て聞いたそれらを使う。
「別にいやらしい事はないから」
「流石の兄貴も、こんな発育不良に欲 情する変態と知り合いはいねえからな」
「……で？ 何目線なのシャロ」
お互い口にした事はない。
ただ、気付いた時にはそうだと思っていた。
「それは、お前が、一番わかってんだろ」
すると鋭利な言葉の刃を突き刺された。
「そう……じゃあシャロは『ママが恋しいマザコンが、ママの代わりを見付けて擬似恋愛ごっこ』をして、自分に錯覚させ私にママをさせる」
「……」
「それともやっぱり『ばあや』かしら？」
ユークは俺の口から聞くまで弄り倒す気かよ……
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わらび(プロフ) - この作品を最初から読んでみたいです。パスワードを教えていただけないでしょうか？よろしくお願いします。 (5月10日 16時) (
レス) id: 34508226ea (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - 初めまして。この作品をはじめから読みたいのですがパスワード教えていただけないでしょうか? (2022年10月1日 10時) (レス) id: 103a1a1ae5 (このIDを非表示/違反報告)
らら(プロフ) - はじめまして。この作品を最初から読みたいのですが、パスワードを教えていただけないでしょうか。 (2022年4月20日 0時) (レス) id: 44fed9ee68 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクミント(プロフ) - パスワードを教えてもらえませんかお願いします (2022年4月14日 13時) (レス) id: ec7fbc943f (このIDを非表示/違反報告)
skyzero - 初めまして。この作品を最初から読ませて頂きたいのですが、パスワードを教えて頂けませんか？ (2022年3月22日 23時) (レス) id: 034e636663 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MUMU(かとえ) | 作成日時：2020年1月29日 3時
