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「ハァハァ、…ッ」


 気付いたら、腕の中に抑えていた。馬鹿でもわかる、オレが期待していた通りに彼女はケーキだった。後天的にフォークという性になってから、久しく感じたことがなかった甘美。少量の血は、少し苦味を含むチョコレートのような味で唾液はキャラメルソースのように甘く甘くオレの理性を掻き立てた。
 彼女を味わって口の中から飲み込んだ喉奥まで熱く痺れるような感覚がする。身体が芯から熱くなり心拍数が上がる、どんな薬よりも依存性があるから危機感すら覚えてくる。

 噛まれた自らの舌に触れれば、彼女がオレに抵抗したという証拠が指につく。それなのに、彼女の表情はオレに対する恐怖とその瞳の奥底に潜む仰望(ぎょうぼう)のコントラストが垣間見えていた。

 ( )してはいけない罪を( )した気がしてくる。店から出ていった今でもオレは何度も立ち止まって、もう一度彼女にむしゃぶりつきたくなる衝動に何度も脳髄を掻き乱される。


「あ゛〜ッ…クソ…!!」


 明日も仕事に行く前には彼女の所に行こうと思っていた。嫌われていたとしたら、もうあの笑顔を見られないのだとしたら発狂する気がする。弁明すれば、許してくれるだろうか。彼女に何をすればいいのか、何もわからなかった。





 翌朝、陰鬱な気分と彼女の顔を見られる喜びが複雑に織り交ぜられた感情に支配されて、店から少し離れた所に立ち尽くして入られずに居た。すると、店から彼女がのぼり旗を両手で持って、それを立ててスタンドボードを店の前に置くと店の周り掃除し始める。
 いつもとなんら変わった様子はないいつもの彼女で、昨日のことは夢だったんじゃないかとすら思えてくる。が、ふとオレの存在に気付いた彼女は身動きを封じる。
 現実はやはりそう甘くない。やっぱりあんなことをされて今まで通りでいてくれるはずがない。


「いらっしゃいませ!三途さん、焼きたてのたい焼きと当店自慢の生どら焼きいかがですか?」


 その声は俯いていたオレのすぐ前にいつの間にか立っていたオレが拍子抜けするほど彼女の明るい声だった。思わず、すぐに顔をあげた。固まっていた表情は柔らかく崩され、愛らしく人の良いいつもの笑顔を浮かべていた。心のどこかで、安堵の息をついた。


「おはようございます。枢木さん、今日もいつものでお願いします」
「はい!ありがとうございます!!どうぞ店内へどうぞ!」


 彼女はやはり、



3,触らぬ神に​─​──→←2,人間と獣の違い



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パチンカスヱ(プロフ) - 凛愛さん» ありがとう😌💕こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとう😌 (2021年12月30日 8時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - 完結おめでとうございます!表現ひとつひとつが刺さるお話でした…!!たった一度の恋をこんなにも儚く美しく書ける文才に感嘆するばかりです。書いてくれてありがとう!!ココくんの新作も楽しみにしてます🥺🥺 (2021年12月26日 20時) (レス) @page17 id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
凛愛(プロフ) - 完結おめでとう!!泣きました…素敵なお話をありがとう…😭😭 (2021年12月26日 13時) (レス) @page17 id: f83a603b36 (このIDを非表示/違反報告)
パチンカスヱ(プロフ) - 桜峰瑠璃さん» 嬉しいです……!!!! 一緒に出頭しましょう🥰 (2021年12月2日 15時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
桜峰瑠璃(プロフ) - ヤバい!!!全性癖にぶッ刺さる!()しゅき…興奮する!!!!!(通報案件) (2021年11月30日 17時) (レス) @page5 id: 643076eff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パチンカスヱ x他1人 | 作成日時:2021年11月24日 6時

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