strange48 ページ19
重岡「にしても…どうして何年も連絡くれんかったんや…」
さっきと打って変わって寂しそうな表情で
訴えかけたシゲちゃん。
「ごめんね…私も連絡したかったよ。
お父さんのことも…」
私が引っ越す直前、
シゲちゃんのお父さんは事故で帰らぬ人となった。
重岡「親父も…Aも…
みんなオレを置いていくんやっ!」
「…そんなことないよっ!」
シゲちゃんは悲観的になっていた。
現に私はまたこうしてシゲちゃんに会えたけど。
かける言葉が見つからなくて
車内に沈黙が流れる。
重岡「…」
シゲちゃんも黙りこくってしまい
私は足元に視線を落とした。
カバンの中を手探りで
ポラロイドを取り出す。
「あぁっ!…」
藤井と取っ組み合いをしたせいで
ボロボロに壊れたポラロイド。
「どうしよう…」
重岡「それ、Aのか?」
「うん…さっき壊しちゃったんだ…」
中の部品が丸見えになったポラロイドは
取り返しのつかない状況で、
流石に車に乗ってから時間が経ってる為
過去に戻ることは不可能だ。
重岡「オレん家のガレージに工具があるから、
それを使ってみたらええわ」
「特殊な工具が無いと直せないのよ」
重岡「へぇへぇ、そりゃ失礼しやした〜…
まっ、取り敢えず上がってけや!」
昔と変わったぶっきらぼうな口調は
どこか冷たいけど
シゲちゃんの特有の声色は
懐かしさを感じさせた。
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作者名:おふとん | 作成日時:2016年4月3日 4時