ゆびきりげんまん 1/1 ページ4
宣言通り本当に自分でやり返しやがった。
嘆息を漏らしながら満身創痍のジョセフの傷口に消毒液をぶちまける。
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_____あれから数ヶ月が経ち、ジョセフが同じ小学校に上がって変わった事といえば、休み時間を一緒に過ごせるようになったことだけだ。
ジョセフとは、相変わらずお互いの家を行き来して下らない事で盛り上がり戯れ合う日々を過ごしていた。
平日も休日も夏休みも冬休みも春休みも彼と過ごしているので、その間柄を揶揄うクラスメイトも居たがジョセフの破天荒な挨拶周りによって今では絶滅危惧種となった。
ジョセフは他の人から見ても型破りな人物だったが、同時によく人が集まる人気者でもあった。きっとカリスマ?というやつだろう。私も魅せられた一人だ。
たまにはクラスメイトと遊びに行ったら?と問うとジョセフは決まって「あいつらとは学校で遊んでるから、いーのいーの」とチューインガムを口に含みながら一蹴する。普通は逆じゃないだろうか。
そんな風に、ほぼ四年間ジョセフと小学校生活を送ってきたが、十二歳になっていよいよ卒業が近づいてきた私にジョセフはこんな事を言い始めた。
「留年してよ」
「ばか。できるか」
ジョセフの猫毛を乱暴に撫でると不服そうに文句を唱えられる。離れることが寂しいと遠回しに伝える健気な姿に思わず愛おしさが溢れそうになるがごほん、と咳をして誤魔化す。
まぁ、これがもし一生の別れだったとしたら無理してでも留年したが、私とジョセフは双方引っ越す予定もないお隣さん同士なのだ。正直そんな寂しがるような事でもないと思うが、ジョセフは違うようだった。
「中学に入っても真っ直ぐJOJOのとこに帰ってくるから」
約束、と小指だけ立てるとジョセフは拗ねたポーズを取りながらも喜びを隠せない様子で同じように小指を重ねてくれた。
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作者名:田中 | 作成日時:2021年6月27日 2時