ウンディーネの泪

…14 ページ14

あの日から、毎日テヒョンはここに来て

一方的に喋ってはジミンに見つかり連れて行かれた

たくさん外の話を聞かせてくれる彼は、

この誰も居ない退屈な日々の中で

唯一の楽しみになっていたのかもしれない。


TH「今日は白いドレスなんだね！可愛い！
ヴェールまでつけてて花嫁みたいだね？

俺と結婚する？そしたらここから出れるのに！
あ、でも名前まだ分からないや…

じゃあ、俺が名前付けてあげる！う〜ん…
君の瞳は月みたいで綺麗だからセレーネ…セレナ」

ここから出してくれるの…？

どんなに私が無表情でいても

あなたはいつも笑顔で私に話しかけるのね

でも人間を好きになることは無いわ…


JM「テヒョン様！またここにっ！
ダメだと何度言えば分かるんですか！？」

TH「うわっジミンだ！セレナっ
君は今日からセレナだよ！！」

JM「…何を言ってるのです？
訳の分からないことを言ってないで行きますよ！」


セレナ、綺麗な名前…でも私はA

あなたに教える日はきっと来ないと思う。

月を見上げることもなくなった。

みんなは元気だろうか…

ユンギはきっと優秀だから、彼のお父様のように

すでに人をまとめる立場にいるはず。

…ナムは、ミアと上手くやれてるだろうか。

元々仲が悪かったわけでもないし、きっと

2人で楽しく過ごせてるはず…そうじゃなきゃ…

ホソクは今も甲斐甲斐しく世話をやいていそう。

久しぶりに思い浮かべたみんなの顔に

いつの日か押し込めていた感情が顔を出し

溢れ出した涙。

会いたい…みんなに会いたい。

もう一度あの湖へ行きたい。エデンへ帰りたい。

「ここから、出たいっ」

止まらなくなってしまった思いは、

前よりも深く心を引き裂いていく。



それ以来、食欲も無くなり、

ベッドから起きる気力も無くなって

このまま生き絶えても良いかもしれない…

そんな風にさえ思っていた。

それでも変わらずやってくるテヒョン


TH「ねぇ、セレナ。最近ずっと横になってるけど、
具合悪いの？大丈夫？

すごく痩せたみたいだし…
ちゃんと生きてるよね…？」

JM「テヒョン様…」

TH「あっジミン！セレナの様子がおかしいんだ
ずっとベッドから起きないし、すごく痩せたと思う

何か病気だったらどうしよう？！
あ、そうだ！医者呼んで診てもらおう！？」

JM「はぁ、落ち着いて下さい。
僕が聞いてくるので…」

TH「…セレナ」

…15→←…13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す