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伸之「Aちゃーん、がんばれー」
向こうの方からノブくんの声が聞こえる。無視。
外人の男性にハーネスを巻かれ カメラ付きのヘルメットも被せられた。
「Are you ok?」
「…No.」
「Oh〜,no〜,hahaha!!」
何が面白いんだこの人。
澤部「香椎さーん、制限時間は30分ですよ〜」
再び向こうの方から声が聞こえて、今度は軽く手を振りかえす。
間も無くカジノセットの方で ピーッという笛の音が鳴り響き、タイムリミット30分が動き出した。
…あー、本当やだなあ。
ジャンプ台の一番先端から4歩ほど後ろにさがり下を向かないようにしている。
眼に映るのは遠くまで続く木々と真っ青の空、つい数時間前まで嵐だったくせに朝になったらカラッと晴れ上がってしまった。
「タイミング悪すぎなんだってば〜…」
今雷降ってきてよー。
マキ「Aはこれ何を見てるのかな」
ケンチ「お空かな?」
玲於「天に召されそうですね」
翔「やめなさいな」
玲於「青柳さんは飛ばないんですか?」
翔「、しーっ。余計なこと言わないの」
口に人差し指を当てる翔はそれはそれは必死な形相で、大の大人(しかも男前)の余りに情けない姿に玲於は苦笑いを漏らす。
と、その時、
「ーー飛びまーす!」
啓司「え!」
ケンチ「ガチ!?」
伸之「なんで、まじで?!」
マキ「ほら来た Aやれば出来る子!」
澤部「まだ開始5分ですよ?!」
笛が鳴って数分、まだまだ飛ばないだろうとトークで場を繋いでいた面々は 突然右手を上げてそう高らかに宣言したAに驚き、一斉に椅子から立ち上がった。
(これが終わったら東京帰れる!)
皆に会える!
ジャンプ台に立ち空の青さを見たAは、不意に先月の終わりに行ったメンバーとの海を思い出していた。
それに、震え上がるほど怖いけど これテレビだし ファンの皆が見るだろうから これ以上みっともないところは晒せない。
スタッフ「飛ぶんですか…?!」
「はい、飛びます」
カジノスタッフの焦った声が聞こえる。
今飛んだら面白くないかな、でもいいや、もう散々追い詰められたし。
軽く振り返ってカメラ目線で笑顔を作る。
「香椎ファンの皆さん、お待たせしました。
私飛びます」
見ててね。
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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2014年12月25日 15時