-ver.aqua marine- 2 ページ2
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メンバーにそう説得され、雑誌から目を離して うーん…と迷う素振りを見せたA。そこに広臣が畳み掛けるように
広臣「A、皆で夏の思い出作りたくない?(Aの水着姿がどうしても見たい)」
「作りたい…」
広臣「じゃあ行こう?(白のビキニがいいな)」
「…行く。」
こうして、三代目結成後初となる、メンバー全員揃ってのお出かけが決定したのである。
(臣、心の声消せてないで!)
*
そんなこんなで翌週月曜日の夜。
シャワーを浴びて寝室に戻ってきた剛典は スマホに5件の着信が入ってることに気付く。
(え、A?!)
なんと、その着信は全てAのもの。
2・3件なら まあまだわかるが、流石に5件も入ってるとなると何かあったんじゃないかと心配になる。
剛典は髪の毛を拭く手を止めて、急いでAに掛け直した。
『…もしもし』
3回目のコール音の後聞こえたAの声は どことなく低くて元気がないように感じる。
剛典「A?!どうした、何かあった?」
『剛典あのね、
明日って、なに持ってけばいいの?』
剛典「…は?」
電話の向こうのAの間抜けな顔が浮かんできて 身体の力が抜ける。
はー、とため息をつき ベッドに腰を下ろした。
剛典「なにって、水着だろ」
『他には?私海行くの初めてだから、わからない…』
剛典「え、A 海行ったことないの?」
『遊ぶ目的で行ったことない』
剛典「まじか」
小さい頃から家族で出かけることもなかったし、大きくなってからも 元彼に行動を制限されてた青春時代、そしてデビューしてからはほとんど遊ぶ暇もなかったAにとって、海に遊びに行くことは人生初の体験だった。
剛典「…水着はあんのか?」
『昨日AKIRAさんと買いに行った』
剛典「(AKIRAさんのセンスなら問題ないか…)じゃあ、上に羽織る薄手のパーカーと バスタオル」
『ふむふむ…』
剛典「…おい、一つずつ言ってってやるから今用意しな」
『あい。』
こうして、剛典とAの電話越しの奇妙な前日準備は夜遅くまで続いた。
(剛典、日焼け止めがない…)
(なんで日焼け気にしてんのに持ってないんだよ!)
(だって普段日焼けしにくいから…)
(なんなのお前)
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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2014年12月6日 12時