Walking with…（ 2 ）【JW 赤×緑】

Ep.Final ページ32

緑side



昔の事を思い出した。





帰宅途中、たまたま通りかかった公園で高校生らしきお兄さんが、囲われて暴力受けとった。



…あぁ、またか。


どうせ俺にはなんも出来ひんし。



そう思って、チラリと彼らを一瞥して歩みを進める。





いや、正しくは、進めようとした、やけど。






一瞬だけ見えた彼の表情が、何かを諦めたような、それでもどこかで助けを求めてるような、そんな気がして。




「ちょっと！何してるんですか！」



気づいたらでかい声で叫んどった。



「寄って集って1人を囲うなんて、卑怯です！」





「何や？文句あんのか？」





囲ってた奴らの一人が、こっちに向かって歩いてくる。


キッと睨み返せば、それにイラついたのか、



「女が首突っ込んでくるんじゃねぇよ！」


声とともに勢いよく振るわれた拳。





そんなレベルじゃ俺に掠りもせえへんのに。





サラりと躱して、そのまま手首を掴んで捻りあげる。




「いだだだだ！！くそっ！いってぇ！！」









「調子乗んなガキが！！！｣


仲間がやられとるのに黙ってられへんのか、一斉にこっちに走ってくる男達。




｢に、逃げろ！！｣


そう叫ぶ声が聞こえた方を見れば、ボロボロになりながらも必死にこっちに手を伸ばしとる男の子。



あぁ、きっと優しい人なんやろうな、って直感でそう感じて。



そんな彼を安心させたくて、にっこりと微笑んだ。




そこからの記憶はあまり無いけど、気づけばさっきまでイキッとった男達が周りに伸びとって、



「これ以上なにかするって言うなら、こちらも容赦しませんよ｣



そう言えば、｢覚えてろよ！｣なんてクソだっさいセリフ吐いて、伸びてる仲間引き摺って逃げてった。







彼らが去ったのを見届けてから、急いでボロボロの彼の元へと走る。




「大丈夫ですかっ！？」





「っ、触んな、」



まるで野良猫みたい。


警戒心丸出しで強がる彼やけど、潤む瞳と上がった息遣いが隠しきれてへん。


そっと額に手を当てれば、明らかに平熱では無い体温。



「うわ、熱あるやないですか！立てます？家まで送ります」





「やからええって！」





「ダメです！こういう時はちゃんと他人を頼ってください！！」



分かっとる。


人に頼るって、案外難しいことなんやって。


それでも、どうしても、彼のことが放っておけなくて、

伝われって、両頬を包んで真っ直ぐ見つめる。

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