Walking with…（ 2 ）【JW 赤×緑】

＊ ページ29

紫side



南倉庫から15分。


学校の門をくぐれば、そこには無数のバイクが散らばっとった。



狡いことしやがって、ホンマに許せへん。



西桜のみんなは、小瀧、流星、神ちゃんは。


中の様子が分からへんから、急いでバイク飛び降りて、校舎内へと走った。






いや、正確には走ろうとした。




「遅かったなぁ」



「サカキ……」



目の前から歩いてきたのは、東桜のトップ。





「も〜、お前ら遅すぎて待ちくたびれたわ」


「何ぬかしとんねん！！
小賢しいマネしよって！」


「何の話？
あれ、10時に西桜集合、じゃなかったっけ？」



そう言って、わざとらしく首を傾げる。



「お前ら、こんなやつ放っとけ！
今は中の方が優先や！」



照史の声で我に返ったみんなが、校舎内へと向かっていく。







「そういえば、神ちゃん、だっけ？」



サカキの一言に、再び足が止まった。




「なぁ、なーんであんな上玉居ること隠してたん？」



「何、言って」



「あれは大誤算だったなぁ。
わざとこっちに置いてったんでしょ？
まぁ確かに、あれ1人居れば百人力だもんなぁ」



何の話しとるのか、さっぱり分からへん。


神ちゃん一人で百人力？



「あー、ぜひ彼がウチに欲しい！！
ね、いくらなら譲ってくれるん？？」



「いくらだろうが、神山はお前なんかに渡さへん」


しげの低い声が響く。



「ふーん、神山君、って言うんだ。
まぁいいや。もう死んでるかもしれないし。
生きてたら、また会いに来るね」




そう言って俺らの間を通り抜けていくサカキの肩を咄嗟に掴んだ。


「なに、きみ？痛いんだけど」


「今の、どういう意味や」



死んでるかもしれない？

生きてたら？



それじゃまるで、神ちゃんが今危険な状態みたいな言い方やん。


「そのまんまの意味だけど？」



「やから……」






「しげっ！！！神ちゃんが！！！！」




響いたのは小瀧の声。




ボロボロの姿で泣きそうになりながら、必死でこっちに走ってくる。




「ほら、言った通りじゃん？
早く行った方がいいんじゃない？」



掴んでいた俺の手を払って、悠然とシャツを直すそいつの顔を今すぐにぶん殴ってやりたい。




けど、そんなことより今は。




「…チッ、ほんま、覚えとけや」



ヒラヒラと後ろ手を振るサカキに舌打ちして、急いで校舎内へと向かった。

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