Tantalizing loves【JW 赤×緑】

＊ ページ8

「…自分、普段どんなん聴くん？」


「んー、バラードとかよりは明るい元気出る系の歌の方が好きやな！」



「そしたら、オススメは…」



自分のケータイに入ってる曲の中から、俺へのオススメを探してくれる。



その表情がなんだか楽しそうで、ほんまに音楽が好きなんやなぁって伝わってきた。





「この辺のアーティストは、結構明るい曲調が多いで」



「今聴いてみてもええ？」



「あんま音出したりとかはあれやから、これ使い」


と、ブレザーのポケットから出てきたのは、ちょっと高そうなイヤホン。




「ほいっ！」


「え？」


「せっかくやし、神ちゃんも一緒に聴こうや」


片耳を神ちゃんの前に差し出すと、予想してなかったのかビックリして固まっている。



「ん？自分でできないなら、俺が付けたろか？？」



冗談のつもりで神ちゃんの耳元までイヤホンを持っていくフリをすると、


「じ、自分でできるっ！」


と、焦った様に奪い取られた。




今日は神ちゃんのいろんな表情が見れとる気がするな。





「じゃ、再生するで？」



神ちゃんの選んでくれた曲は、真っ直ぐに思いが伝わってくる応援歌。



歌詞も曲調も俺好みで、思わず聴き入ってしまう。



触りだけ聴いてみてもええかな、ってくらいやったのに、気づいたらフルで聴いとった…。



曲が終わって、イヤホンを耳から外して一言。



「めっちゃええやん！！」



「やろ？このアーティスト、ほんまアツくてええねん！」



興奮して横を見ると、嬉しそうな神ちゃんと目が合った。



その瞬間、我に返ったかのように、パッと視線を外される。



「っと…、集中力切れたし、今日はもう帰るわ」



そう言って、ぱぱっと机の上のものを片付けると、バッグを引っ掴んで走るように教室を出ていってしまった。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す