＊ ページ22
「神ちゃんっ！！！待って！逃げんでっ！！」
誰もいなくなった校舎内に二人分の足音が響き渡る。
突如始まった全力追いかけっこ。
その軍配は、
「くそッ…！ハァ…、待て、って！！」
俺に上がった。
「…離せ、やっ！ッはぁ…、こんなとこ、誰かに見られっ、たら、どうするん！？」
「ぜっっったい、離さん！
誰に見られようが、…っ、俺は今、神ちゃんと話がしたいねん！！」
掴まれた左手を振りほどこうと暴れる相手に、俺は握っている手の力を強める。
「神ちゃんを、傷つけるようなことしてまったんなら謝る！…やから、一旦落ち着こうや」
そう言うと、神ちゃんは急に抵抗をやめて大人しくなった。
「…しげはなんも悪くない。」
誰もいない廊下に、ポツリ、言葉が落ちる。
「でも、あの日。パフェ食べ行った日から、学校来んくなったやん。俺がなんか神ちゃんの気に触ることしてまったんやないの？」
「それは…っ」
何か言いかけた神ちゃんやったけど、やっぱり俺には話してくれないみたいで、再び黙り込んでしまった。
「分かった。言いたないんなら聞かんし、
もう、必要以上に近づかんから。
…頼むから、俺ん事避けんといてや。
これでも結構傷ついてんねんで…」
素直な気持ちを伝えると、小さく一言「ごめん」とだけ返ってきた。
「謝罪はええから。
また、学校来てくれへん…？」
繋がったままの左手に右手を添えて、俯く神ちゃんの顔をのぞき込む。
「…分かった、行く、から。手、離して。」
何故かカタコトな神ちゃんの顔は見えなかったけど、多分、素直になったんが恥ずかしいんやろうな。
「っしゃ！約束やで！
破ったら許さんからなっ！？」
興奮して腕を上下に激しく振ったら、神ちゃんに頭はたかれてもうた、、
「あほっ、馬鹿力なんやから加減せぃ！！」
「へへっ、ごめんごめん！」
また神ちゃんに会える！！
ぽっかり空いていた心の穴が、じわじわと満たされていく感覚。
「ほんま、なんでそんな自分の気持ちに真っ直ぐ生きられんねん…」
「ん？なんか言うた？？」
「何でもない」
また俺の学校生活に色がつき始めた、そんな9月中頃の話だった。
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ぱすた野郎(プロフ) - まろんさん» まろんさん、コメントありがとうございます…！私もトラウマとか過去になにか抱えてる系大好きなので、自然と自分の書く作品もそうなっちゃうんですよね…笑 次話からもっと濃厚なかみしげが始まりますので楽しみにしててください！ (2021年12月9日 20時) (
レス) id: cfe69c1cc8 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - はじめまして！前作から読ませてもらっています！！前作から私の好みと完全一致で大好きです！過去があったり、何かしらの理由で一人でいる緑くん×まっすぐな赤くんの構図大好きなんです！！！恋がそろそろ動き出すのでしょうか……楽しみに待っています！！ (2021年12月9日 17時) (レス) id: e4caaf778f (このIDを非表示/違反報告)
ぱすた野郎(プロフ) - ナナイロさん» ナナイロさんっ！コメントありがとうございますぅう！！二人が早くくっついてイチャイチャできるよう、頑張っていきます！私もナナイロさんのお話楽しく読ませていただいてます！お互いに頑張りましょう(^^) (2021年12月6日 22時) (レス) @page28 id: cfe69c1cc8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナイロ(プロフ) - ぱすたさん！はじめまして！！前作から読ませてもらってます！緑くんと赤くんの2人だけの空間や緑くんの味方でいてあげようとする赤くんがめっちゃ好きです！緑くんの過去も気になる、、！これからも更新待ってるので頑張ってください！！ (2021年12月6日 0時) (レス) id: e8246d4427 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすた野郎(プロフ) - 7129さん» いつもコメントありがとうございます(T＿T)そうですそうです！笑 曲聴いてたら何となく今回のしげのイメージが湧いてきて、思わず書いちゃいました笑 引き続き楽しんでいってください！ (2021年11月17日 20時) (レス) id: cfe69c1cc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱすた野郎
| 作成日時：2021年11月4日 21時
