Tantalizing loves【JW 赤×緑】

Ep.1 ページ1

赤side



「今日からうちのクラスに転校してきましたぁ！ほら、自分から自己紹介しぃや」



新しい担任の桐山先生に呼ばれて、教卓の隣に立つ。



高校2年の6月という、また微妙な時期に転校してきた俺は、当たり障りのない笑顔を浮かべ、当たり障りのない自己紹介をする。




「あー、重岡大毅です。兵庫から越してきました。宜しくお願いしまーす」



まばらな拍手とともに、品定めでもされているかのようなクラスメイトからの視線。


親の都合で、これまで幾度も転校を繰り返してきた俺やけど、ほんま、この瞬間だけは何回あっても慣れへん。




「じゃ、重岡は窓際の後ろの空いてる席使ってな」


「はーい」



クラスメイトからの視線を避けるように、そそくさと指定された席に着き、カバンを横にかける。



ふと横を見ると、隣は空席。



「ん？ここの席のやつ、今日休みなん？」



気になって、前の席のやつに声をかけると、




「あぁ、神山か。そいつ、気をつけた方がいいよ。学校来てないし関わることもないだろうけど。」


と、一言だけ。



「そうなんや。
教えてくれてありがとうな」



なんや、ヤンキー的な感じなんかな？



隣の席とか最悪やん。



まぁ、学校来とらん言うてたし、関わることもないやろうな。









転校生って初日こそは人気あるけど、何日が経つとだんだんみんな離れてくんはなんでやろな。


授業中、教師の話す声をBGMに、ぼーっと外を眺めながら考える。



別にぼっちな訳やないで。



話そうと思えば誰とでも話せるし。



ただ、このクラスの奴らは、どこかよそよそしいと言うか、壁を感じる。




特に、クラスの中心におる佐々木っちゅう男。


なーんかいけ好かんのよなぁ。



別に何かされたとか言う訳でもないし、
むしろ積極的にコミュニケーションを取ろうとしてくれる。


それでも、なんとなく目の奥が笑っとらん気がすんねん。

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