Tantalizing loves【JW 赤×緑】

Ep.Final ページ45

「ほな、明日からは冬休みやけど、羽目外しすぎんように気ぃつけてなぁ」



終業式も終わり、桐山先生から通知表受け取って午前中で学校は終了。




あー、やばい。緊張してきた。



あの日、神ちゃんにデートの約束取り付けたのはええけど、まだ何のプランも思いついとらん。



とりあえず、学校終わったら連絡する、とだけ伝えてある。




「あ、重岡、ちょっとええか？」



帰り際、桐山先生に呼ばれてやって来たんは、2度目の生徒指導室。





「俺、なんも悪いことしとらんねんけど」



「ちゃうちゃう、もんちのことや。

最近はだいぶ明るくなって来てん。
お前のおかげや、ありがとうな」



そう改めて言われるとなんだか照れくさくて、
近くにあったイスにおもむろに腰掛ける。



「そんな、俺なんもしてへんよ」



「いや、重岡にはほんまに感謝しとる。
…悔しいけど、俺じゃもんちの事、本当の意味で救えへんかったと思う。」



そう言って眉を下げる桐山先生やけど、全然そんな事ないって俺でもわかる。



「神ちゃん言うとったで。
桐山先生おらんかったら、学校なんかとっくに辞めてたって。

神ちゃんが一番辛い時、そばにおったんは俺やない、桐山先生やん。

俺も、先生おらんかったら神ちゃんとこんな仲良うなれとらんと思うし。」




「こちらこそ、ありがとうございます」と頭を下げると、先生がらしくもなく目頭を抑えて上を向いた。



「あかんなぁ、最近涙腺ゆるなってきとるわ。

…お前、この後デートなんやろ？
男らしくバシッと決めてこいっ！」


「なっ！？なんで知っとんねん！？」


「ふふん、教師の情報網舐めたらアカンで」


ドヤ顔でそう言って、生徒指導室を出ていく。






―――もんちのこと、頼んだで。



扉が閉まる直前、桐山先生が放った一言。


その言葉ごと飲み込むように大きく深呼吸をしてから、俺もその場を後にした。










神ちゃんに「今終わった」とメッセージを送るとすぐに既読がついた。



もしかして、ずっと待っとってくれたんやろか。



俺とのトーク画面とにらめっこしとる神ちゃんを想像して1人にやけてると、ポコッとメッセージが1件。



「待ってた」

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