Tantalizing loves【JW 赤×緑】

＊ ページ36

赤side


あー、あかん。

集中や、集中！



今は国語の授業中。

桐山先生がなんや難しい本の紹介をしとるけど、俺の頭の中は昨日のことでいっぱいで。



油断したら脳裏にあの時の光景が思い浮かんでしまう。



視線が交わった瞬間、俺の中の何かが溢れてきて、気づいたら神ちゃんにキスしとった…。



必死に俺を受け入れる姿が可愛くて、何度もしてまったけど、あの様子やと神ちゃんも満更では無さそうやったよな…？




昨日は頭の中ふわふわしとって言えへんかったから、今日こそは絶対告白すんねん！


漢(おとこ)重岡、こうと決めたら曲げへんで！！



「っし、頑張れ俺！」


「重岡ー、何を気合い入れとんのか知らんけど、集中しろよー」



桐山先生のツッコミに、どっとクラス全体が笑いに包まれる。



「っ、すみませーん」







そうして、やってきた放課後。

教室で1人待っていると、そーっと後ろのドアが開き、ひょこっと神ちゃんが顔だけ覗かせる。



うわっ、可愛え……やなくて、めちゃくちゃ緊張しとるやん笑


そりゃそうやな。

あんな事した後に、俺なんも言わへんで帰ってまったし…



とりあえず、ここはいつも通りに振舞った方がええか。

と、明るく話しかけた。






言おう、言おう、と意識すればするほど
言えなくなっていくのが人間の性。


結局、下校時刻になっても言い出せず、二人で帰り支度を済ませる。



もう、帰り道しかないで、自分。




1人意気込みながら校門を出ると、



「とも〜」



門の前に止まっていた車の窓が開いて、なんやイケメンが顔を出した。



とも？
そんなやつおらんけど…


「え、流星？なんでおるん！？」


隣から聞こえてきたのは、驚いた神ちゃんの声。



ともって、神ちゃんのこと！？


確かに、神山ともひろ…

それで とも、か。





「迎えに来たで。ともの好きなケーキ屋さん寄って帰ろや」



「え！ええの！？やった！！」



その流星さん？に誘われ、神ちゃんのテンションが一気に上がる。



こんなに元気な笑顔、俺には見せてくれんのに…



「じゃ、しげ、また明日！」



そんな俺の気持ちも知らんで、神ちゃんはニコニコしながら流星さんの車に乗って行ってしまった。

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