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次の日、いつも通り放課後の教室に入ってきた神ちゃんは、俺を見つけると一瞬だけ目を見開いたが、すぐいつものポーカーフェイスに戻る。
「今日は来たんやね。もう来んのかと思っとった。」
「なんで?昨日はたまたま用事が出来ただけやし。
もしかして、寂しかったとか??」
「んなわけないやん。
ウザったいのがおらんくなって、逆に喜んどったのに」
「ほんま、神ちゃんって素直やないよなぁ」
「これが俺の本心ですー」
気まずくなったりしたらどうしようとか思ってたけど、いつも通りの会話のテンポにちょっとだけ安心する。
苦手な数学も、毎日勉強を積み重ねればそれなりに出来るようになるもんで。
「神ちゃん、だいぶ問題解けるようになってきたやん!」
「そやね、」
「な、このあと…」
「なんべんも言うけど、どこにも行かんよ」
食い気味に放たれた言葉に、一瞬押されそうになる。
いや、ここで負けんな。俺。
「駅前にパフェが美味しいカフェ出来たんやって!」
昨日の放課後を使って、一生懸命ネットで調べて、実際にお店の前まで足も運んでみた。
そこには、甘いもの好きなら誰でも喜びそうな、キラッキラのパフェが並んどった。
今まで無反応だった神ちゃんの肩がピクっと動いたのを俺は見逃さない。
これはいける。
あと一押しや。
「俺、めちゃ気になっとるんよなぁ。
せやけど、男一人でパフェ頼むんも恥ずいし…。
あー。神ちゃんが来てくれたらなぁ」
ちらりと横目で見ながら言うと、そこには一人で百面相している神ちゃん。
なにそれ、可愛ええんやけど。
「……げ……りなら…」
小さな声でなんか言ってる。
「ん?」
「し、しげの奢りなら…行ってもええよ……」
「ほんま!?ほんまに!?」
まさかの返答に、思わず身を乗り出して聞き返す。
「ちょ、近いって!
しげ、そんなパフェ好きやったん?」
「え?あ、おん。そうやねん!めっちゃ好き!!」
好きなのは、パフェやなくて神ちゃんやけど。
…って、あれ??
「…げ、しげ!行かんの?」
「あ、ごめんっ!すぐ準備するな!」
一瞬見え隠れした気持ちには、気付かないふりをした。
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ぱすた野郎(プロフ) - まろんさん» まろんさん、コメントありがとうございます…!私もトラウマとか過去になにか抱えてる系大好きなので、自然と自分の書く作品もそうなっちゃうんですよね…笑 次話からもっと濃厚なかみしげが始まりますので楽しみにしててください! (2021年12月9日 20時) (レス) id: cfe69c1cc8 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - はじめまして!前作から読ませてもらっています!!前作から私の好みと完全一致で大好きです!過去があったり、何かしらの理由で一人でいる緑くん×まっすぐな赤くんの構図大好きなんです!!!恋がそろそろ動き出すのでしょうか……楽しみに待っています!! (2021年12月9日 17時) (レス) id: e4caaf778f (このIDを非表示/違反報告)
ぱすた野郎(プロフ) - ナナイロさん» ナナイロさんっ!コメントありがとうございますぅう!!二人が早くくっついてイチャイチャできるよう、頑張っていきます!私もナナイロさんのお話楽しく読ませていただいてます!お互いに頑張りましょう(^^) (2021年12月6日 22時) (レス) @page28 id: cfe69c1cc8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナイロ(プロフ) - ぱすたさん!はじめまして!!前作から読ませてもらってます!緑くんと赤くんの2人だけの空間や緑くんの味方でいてあげようとする赤くんがめっちゃ好きです!緑くんの過去も気になる、、!これからも更新待ってるので頑張ってください!! (2021年12月6日 0時) (レス) id: e8246d4427 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすた野郎(プロフ) - 7129さん» いつもコメントありがとうございます(T_T)そうですそうです!笑 曲聴いてたら何となく今回のしげのイメージが湧いてきて、思わず書いちゃいました笑 引き続き楽しんでいってください! (2021年11月17日 20時) (レス) id: cfe69c1cc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱすた野郎 | 作成日時:2021年11月4日 21時